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1.蕎麦の打ち方
蕎麦を打つ……と書くと、何か専門家のやることというイメージをもたれるかもしれませんが、蕎麦は誰でも簡単に打てます。私のところで、蕎麦を食べにきた人が、打ってみたいと、初めて蕎麦打ちに挑戦して見事な蕎麦を打つ、などと言うことは珍しいことではありません。それまでは、先生ツラをしていても、とたんに化けの皮がはがれます。蕎麦打ちは難しくない……のです。蕎麦の特徴は、・だれでも基本を知れば、簡単に打てる ・打ってすぐに食べられる ・自分で打った蕎麦が一番おいしい ……ということです。 ということはつまり基本を知ると言うことがたいせつだと言うことです。簡単にご紹介しましょう。以下の6つのステップで説明します。
<蕎麦打ちの手順>以下の5つのステップでご紹介しましょう。 1)蕎麦粉 2)水回し 3)捏ね 4)延し 5)切り 6)茹で
1)蕎麦粉……蕎麦粉には色々な種類がありますが、詳細については次章で説明しますので、ご参照ください。ここでは、一般的な二八蕎麦の打ち方について説明します。二八蕎麦では、蕎麦粉とつなぎの小麦粉を8:2の割りでまぜます。全部で500gを打つならば、最初に蕎麦粉400gをボールに入れ、そこに100gの小麦粉を入れて良く混ぜておきます。これを二八と言いますが、場合によっては、500gに100gでもいいでしょう。これを外2と呼びます。袋入りの蕎麦粉は、500gが多いので、その場合には100gの小麦粉を加えて、外2でも結構です。
2)水回し……この蕎麦粉を水で捏ねますが、加える水の量は40〜50%ほどです。粉の乾燥具合によりますが、冬の乾燥(湿度30%)であれば50%近く、夏の湿気の強い状態であれば40%強くらいが普通です。きちんと計量して、水を用意し、まず半分を加えて粉の一粒一粒に水が行き渡るように混ぜます。両手で粉を取ってこするようにバラし、粉にまんべんなく水が行くようにします。行き渡ったら、さらに半分の水を加え……ということをていねいに繰り返し、4回くらいで全部の水を入れます。この段階では、粉をまとめるのではなく、あくまでも一粒一粒に均等に水が行き渡るようにすることがコツです。(約5分)3)捏ね……水がまんべんなく行き渡るようになったら、粉を小さくまとめて玉にし、それを大きくしていきます。そして、粉と水がきれいにまとまるように、玉をつぶしては起こして重ね、つぶして起こして重ね……を繰り返します。こうして行くと次第に玉の表面につやが出てきます。こうなればこねは終了です。(約5分)
4)延し……打ち粉を少し振りかけ、玉を手で平らにつぶし、これを上から押しつぶして、大きな円盤にします。粉の量にもよりますが、500gならば直径40〜50cmくらいになるまでつぶして延ばします。ここで打ち粉を振り、これを麺棒で巻き取って転がしながら4、5回延ばし、今度は逆側から巻き取って4、5回伸ばし、それを横に開いて手前から巻き取って延ばし、終わったら逆側から巻き取って延ばし……これを広げて正方形の形にする(四つ出し)。この麺体を薄く延ばして、均一になるようにします。(約5分)
5)切り……薄く延ばした麺体を、打ち粉を入れて半分に畳み、さらに打ち粉を入れながら直角に2回たたみます。切るのは蕎麦包丁が便利ですが、ない場合には菜切り包丁でもかまいません。また、駒板がなければ、手を添えて切ってもOKです。私も最初は、洋包丁に手を添えて切っていました。江戸蕎麦は、太さが1.2〜1.3mmと言われます。このサイズで切りたいところですが、太ければその分香りが楽しめますので、太さは気にせずに進めてください。ただ、太さはそろえて方がいいと思います。というのは、太さがマチマチになると、厳密に言えば茹で時間が異なりますので、茹であがった時似、茹ですぎと半生が混ざっているということになりかねませんので、できるだけ均一に切ることを心がけて下さい。(約5分)
6)茹でる……蕎麦を茹でるには、大きななべを使いできるだけたっぷりのお湯で茹でてください。私が使っているなべは約20リットルの水が入るなべですが、これでも2人前くらいの蕎麦を茹でるのがせいぜいと思っています。生の蕎麦は、乾麺と比べると茹で時間は非常に短くなります。江戸蕎麦の1.2〜1.3mmのばあいには、沸騰した湯で30秒くらいでしょう。一般には、なべ一杯の水を沸騰させた状態で、1、2人前の蕎麦をぱらぱらとほぐして入れ、くっつかないようにそっと箸でかき回し、再び沸騰してきたら、10秒ほどを数えてあげるくらいでいいでしょう。すぐに水を張ったボールに入れて流し洗いし、ざるに取ります。 以上です。これに薬味の大根おろしと刻みネギ、ワサビを添えてどうぞ。 2.蕎麦粉
蕎麦打ちで一番のポイントは、蕎麦粉のようです。いい蕎麦を打つ(いい蕎麦、うまい蕎麦……といっても、人により好みが違いますが)ためには、蕎麦粉を含めた素材と、打ち方、それに茹で方、つゆ、薬味……などがありますが、重要性の度合いから言えば、私見ですが、
くらいでしょうかねえ。
蕎麦粉がダメなら、どんなに打ち方がうまくてもダメ、と専門家は言います。蕎麦粉は、最近ではなかなかの質のものを、インターネットを通じても入手できるようです。その一つが銚子のそばの里です。 僕が使っているのは、アチコチに出かけた折に買ってくる地方の蕎麦粉のほかに、友人が贈ってくれる蕎麦粉で、それ以外は、たいていは、以下の3個所で購入します。 1.上記の銚子の「蕎麦の里」(古川製粉所http://www.sobako.co.jp):Webで注文。 2.東神奈川にある「一茶庵の道具販売所」:出かけて購入。 3.町田の「富沢商店」:出かけて購入。 しばらく前までは、町田の富沢商店で蕎麦粉とつなぎ用に白椿を購入して使っていましたが、事務所を移転したために不便になり、最近は使用していません。この店には、小麦粉もいろいろな種類があって、つなぎ用の小麦粉や、うどん用の粉などもいろいろ選べるので、重宝しています。このお店は、小田急やさいか屋などいくつかのデパートの地下にも入っているので、デパートを探してみると見つかるかもしれません。 ただ、最近、柚蕎麦や芥子きりなど変わり蕎麦を打つようになり、せいろ用の粉だけでなく”さらしな粉”(後述の一番粉)を使うことが多いために、蕎麦の里や一茶庵で購入するケースが多くなっています。古川製粉所さんは、メールで注文すれば、2、3日で届くので非常に重宝しています。 あと、秋田のある小倉製粉所さんは、冷凍した状態で蕎麦の実を粉砕し超微分でありながら香りが保たれている……という蕎麦粉の粉砕技術を開発し、この粉を販売しています。2、3度購入して試してみましたが、微分になっているために、100%でもつながりやすく、簡単に生粉打ち蕎麦ができるために非常に便利な粉です。特に初心者の方にはお勧めの粉です。残念ながらWebでの受付はしていませんので、FAXで注文されるといいでしょう。 これまでに私が使った蕎麦粉のリストは蕎麦屋さん一覧の中にあります。ご興味があればご覧ください。 3.蕎麦粉の種類
そば粉には、いろいろの種類があるようです。といっても、そば粉の分類学的な種類ではなく、粉の挽き方の問題です。ソバの実は、固い殻に囲まれた中に、柔らかな白い実が入っています。これを玄そばと呼びます。この玄そば、ソバの実を軽く挽くと、殻が破れて、甘皮に包まれた柔らかい実が出てきます。この工程を抜きと言います。粉と殻に分ける工程です。写真右が丸抜きです。 この抜きが終わった実を臼を使って粉に挽きます。この抜きが終わった実の芯の部分は柔らかいために、最初に挽かれて臼から出てきますが、この部分が更科粉、御膳粉と呼ばれるものです。この最初に出てきた粉が一番粉です。打ち粉はこれが使われることも多いようです。そばの香りがなくて、粘度も少ない粉です。続いて2番粉、3番粉と挽かれて出てきますが、蕎麦粉は細かさにもさまざまがあり細かい粉にするためには再度、挽きますが、挽くことで熱が粉に加わり、香りが飛んでしまうといわれています。
普通は、一番粉、二番粉……用途を分けますが、挽きぐるみの粉を全部使ったそばを打つこともあります。普通のせいろ蕎麦よりも太目に打ったこの蕎麦を、田舎そばと呼ぶことが多いようです。4.打ち粉
それと蕎麦を打つときに蕎麦がくっつかないように使う打ち粉ですが、これも、蕎麦粉です。製粉している粉屋さんに聞きますと、打ち粉は、蕎麦の実を挽く時に最初に出てくる粉だそうです。粘着力がなくて、茹でたときに蕎麦の味があるということで、打ち粉に最適なのだそうです。厳密に挽けば一番粉が最初に出てきますが、一部、二番粉が混じったりしているケースもあるようです。このように、一番粉と打ち粉は非常に近いものです。厳密な違いは、粉屋さんの秘密?よくわかりません5.つなぎ
つなぎには、小麦粉を使います。僕が普通打っているのは、通称二八そば。つまり、蕎麦粉が8:つなぎ(小麦粉)2という割合です。いい蕎麦粉が手に入るような時には、蕎麦粉だけを使った生粉打ち(きこうち)蕎麦も打ちますが、100%の蕎麦がいちばんおいしいというわけでもありません。蕎麦粉によっては、100%の生粉打ちではごそごそするとか、固すぎるとか言う評価もあって、蕎麦らしさという点で二八蕎麦を好む人も多いようです。基本的に「つなぎ」は小麦粉だけです。生卵を加えて卵水を作り、それで捏ねるやり方もありますが、コレステロール対策で、私は卵は加えません。つなぎの小麦粉も、だいたい上記の店で購入します。富沢商店では何種類か売っていて、私も時おり気まぐれに小麦粉を変えていますが、どれがいいか、まだ、キチンと検証していません。 友人たちを呼んで作るときのメニュは、
の3種類を作ります。通常は、上の3種類、つまり3色蕎麦です。 うどんは、2、3年前までは良く作り、評判も良かったのですが、残念ながら「うどん」の方が評判が良く、これが面白くないので悔しくて辞めました。僕は、蕎麦を褒めてもらいたいのですが、それを知っていて友人たちは「うどん」がうまい、と言いふらしています。いい気なモンです。みなさん、友は選びましょうね。 うどんの人気は、「コシが強い」ところが理由のようですが、考えてみれば、全部「つなぎ」で作っているわけですから、コシが強くない方がおかしいんですね……とちょっと負け惜しみモード。 というようなことで、うどんを打つのを辞めていたのですが、ひょんなことから、とても濃いうどん打ちの人達と出会って、その自由さに感動し、再度、うどん打ちを始めました。きちんと始めると、これがなかなか奥が深くて、難しい。いまは、うどんにも挑戦しています。 蕎麦は、即席料理です。粉をこね始めてから茹で上がって食べるまで、早ければ、20分ほどです。ところが、うどんは粉をこねた後、寝かせないとコシの強さがでません。ですから、こちらは食べる時間を見て、前もって粉をこねておく必要があります。おいしいからといって、いま作って食べると言うわけにはいかないのです。その点、蕎麦は食べたいときに打って食べられる。この手軽さと軽快さは、蕎麦のもっとも気に入っているところです。 1.せいろ粉の柚子蕎麦を作るときには、二八ではなく、七三〜六四蕎麦くらいで作ります。これは、蕎麦の香りにかすかに柚子の香りが乗っている、蕎麦の香りと柚子の香りの両方が楽しめる微妙な蕎麦で、私はこれが大好きです。 2.変わり柚子蕎麦の代表的なもので、さらしな粉で作ります。さらしな粉は色も白く、香りが少ないので、柚子を入れて香りと色をつけると、これはなかなかの上品な蕎麦になります(右写真)。
<●芥子きり蕎麦>は、一茶庵の十八番で、友蕎子と称した一茶庵の創始者・片倉康雄氏が生み出したもので、そのため一茶庵から独立した人達がメニュに加えていることが多いようです。これは、芥子の実を良く炒ったものをさらしな粉に加えて蕎麦に仕上げるもので、白い蕎麦のなかに炒った芥子の実が黒い点となって見え、噛むと香ばしい香りが口中に広がる、独特のものです。蕎麦の香りよりも、芥子の香ばしさが際立つ、珍しいもので、これは食べたことがない人が多いために、皆さん感嘆されます。6.蕎麦打ち台 以前は、蕎麦を打つのは、家のテーブルの上でやっていました。これでも悪くないのですが、家に遊びに来る友人のT君が蕎麦打ち台を作ってくれました。サイズは120×90cmの立派なもの。2×4の建築廃材を利用したもので、10cm幅くらいの板を接ぎ合わせたものです。重量もあって大きく、出し入れも大変です。これは、たとえば人を招待して蕎麦打ちパーティなどをするときのように、たくさんの量を一度に打ったりする時、と言ってもせいぜい10人前……、そういう時には、この大きさは便利です。でも、普通は2、3人前しか作りませんので持て余します。……という話しをしたら、すぐに一回り小さなサイズのものを作って、持ってきてくれました。 90×60cmという手ごろなサイズです。扱いやすいので、当初はもっぱらこちらを利用していましたが、打つ量が多くなると、とてもこれでは間に合いませんので、結局は、最初の120×90cmというサイズを使っています。 と言うことで、いまは2×4の建築廃材を利用した、蕎麦打ち台を使っています。蕎麦打ち台……と仰々しく見出しに入れたので、桧などの曰くつきの一品でも使っているのではないか……と思った方もいらっしゃったかと思いますが、期待外れでごめんなさい。蕎麦打ち台を2つも作って運んでくれたT君に敬意を表して、ご紹介したかっただけのことです。 と言う蕎麦打ち台ですが、これを事務所の風呂場に常設して使っています。たまたま広げる場所に困って、風呂桶の上に置いたら、これが何とぴったりはまってしまい、以後、ここに常設してそのまま使っています。事務所ですから風呂場は不要ですので、場所の有効利用という一石二鳥のアイデアです。最近、この蕎麦打ち台が反ってきたので、シナベニアなどを購入してこの上に置こうかと思案しているところです。 7.蕎麦ちょこ ここ数年、特に気にしてはいなかったのですが、大道で古物などの店があると、蕎麦ちょこを買っていました。集めようとか、蕎麦ちょこを探す……といった意識はありませんでした。まあ、蕎麦を打っているので、そんな気になったのかもしれません。そうした大道の骨董屋さんは覗くだけでも楽しいのですが、会話を楽しみながら安い小物でも買うと、それはそれで楽しめます。そんな折りに、なにより値段が手ごろ……なところが、蕎麦ちょこを買いはじめた動機かもしれません。最近では、値段が手ごろなために、蕎麦ちょこを求める人が多くなったそうで、値段も昔に比べると、ベラボーになったと、ある骨董屋さんに聞きました。最初の頃は、新しい物を買っていたのですが、最近は、骨董屋さんで求めることが楽しみになりました。といっても、値段はせいぜい1個1,000円くらいのもので、骨董でもこのクラスは明治時代の工業製品、つまりプリントです。手書きは高いので、手をだしません。だから、持っているもので1,000円を超えるものはわずかしかありません。いずれも骨董価値などはゼロ。もっぱら実用品として使って楽しんでいます。蕎麦打ちパーティの時には、小ぶりのものをちょこ代わりに酒を酌んでもらい、大きぶりのもので蕎麦を食べてもらう……そんなふうに楽しんでいます。 8.メニュー 前述したように、来客(と言うと格好がいいのですが、どちらかと言えば無理やり来ていただいた貴重な実験台)があって蕎麦を打つときには、たいてい以下の4種類の蕎麦とそばがきを作ります。
普通ですと、1人あたり、せいろ蕎麦1人前、柚きり蕎麦、芥子きり蕎麦各半人前、合計で一人当たり2人前と言う計算です。ところがこの量を合わせて作るのは面倒なので、たとえば4人が来る場合、私を入れて5人です。 ・せいろ蕎麦500g(蕎麦粉400g+つなぎ100g+加水200g=計700gの蕎麦)、 ・柚きり、芥子きり合計500g(さらしな粉350g+つなぎ150g+加水250g=計750g)か ・粗挽き蕎麦500g(30メッシュの粗挽き粉の100%=500g) で合計1,450gの計算です。一般に江戸蕎麦では一人前130gと言いますから、約10〜11人前。これだけあれば、たいていは大丈夫です。 かなり酒を飲んで、酒の肴を食べ、うわーよく食べた、と言う後でも、蕎麦を出すと、みなさんよく食べます。仕上がりは約10人前なので、茹でる時には、少し多いかな……と思って、1、2人分減らしたりすることもあります。しかし、結局、食べると足りなくなって、追加して茹でることになります。蕎麦は入るのですね。蕎麦と寿司は別腹(べつばら)という言い方を聞いたことがありますが、これは実感します。 酒が一段落して蕎麦になると、上記のいくつかを、出します。本当は各人に3色盛りで出したいところですが、素人の台所なので手際良くできません。最初にせいろを茹であげて盛っておいて、芥子きり蕎麦、柚蕎麦……と作って一緒盛りにして提供すればいいのですが、1.そのための良い器がない、2.だいどこが狭い……と言う理由で断念しています。せいろを茹でて盛ってから、芥子きり蕎麦と柚蕎麦の2種類を茹でるとどうしても1分はかかる。それがつらいんですね。 このほかに、時折、山芋つなぎなどを作りますが、どちらかというと、山芋つなぎの蕎麦は、山芋の香りが強すぎて、蕎麦の風味を打ち消してしまうような気がして、あまり好みではありません。 蕎麦前のアテには、煮物、そばがき、漬物……などを作ります。煮物は鶏、厚揚げ、つみれ、ガンモドキ、コンニャク、にんじん、大根……などを入れます。味付けは本返しを基本に出汁を入れますが、入れた材料が出汁を出してくれるので、本返しだけでも十分にいい味が出ます。天ぷらは難しいので、手を出しません。 酒は、基本的には日本酒ですが、たまに要望があり麦焼酎の蕎麦湯わりを出します。この場合には、まだ、蕎麦は茹でていないわけですから、小さめの鍋にたっぷりの水と、蕎麦粉、ないしは打ち粉を入れて、沸かして作ります。これをつくるのは、蕎麦とうどんを茹でた場合も同様です。ウドンの茹で汁は、薄めたスイトンのようになってしまい、お湯割りに使うにはあまり良くありません。 9.こね鉢基金
事務所の玄関を入ったすぐ左の棚の上に、大きなガラスのビンが置いて有ります。ここに来た人は、帰りにここで身包み脱いでゆくことになっています。財布の中に入っている、小銭(原則として1円玉、5円玉を全部このビンの中に入れて行くのが、私の事務所の来客のマナーになっています。(いえ、100円玉、500円玉でも、場合によっては1万円札でもいっこうにに構わないのですが、そういう殊勝な、出来た方はいらっしゃいません。ビンは、さるウイスキーのハーフガロンのビンで、これが満杯になるとおよそ、3,500円くらいになります。90%は1円玉、5円玉ですが、時折50円玉、100円玉を入れて帰る気前のいい紳士・淑女もいらっしゃるので、そんな金額になります。 このビンには、[こね鉢基金]と書いた札が貼られていて、これをためて、漆塗りの極上のこね鉢を購入しようという目論見だったのですが、なかなか溜まらないうちに、友人の一人が見かねて捏ね鉢をプレゼントしてくれました。
この捏ね鉢基金のビンを掲げたしばらくした頃、たびたび友人たちを招いては、そばを打って酒盛りをしていましたが、さすがに友人の一人がボールで打っているのを見かねて、プレゼントしたいと誘ってくれました。98年の秋に、仕事で長野に出かけるついでに、友人に誘われて、木工製品を扱っている店にでかけ、素晴らしい捏ね鉢を見つけました。栃の木製で白木の鉢です。これを使っていましたが、やはり蕎麦粉がくっつきます。掃除もしにくいので、塗装したほうがいい……とアドバイスしてくださる蕎麦のメール仲間がいて、ウルシとまではいきませんが、カシュー塗料を買ってきて塗ってみました。冬に毎日夜に塗り、翌日乾かしてサンドペーパーをかけ、また夜に塗る……ということを一週間ほど繰り返して、内面と外側の一部を塗りました。赤と思って色を選んだのですが、買ってきて塗ったら明るい「朱色」でした。ちょっと明るくて落ち着かないのですが、使い慣れると、何とかなるものです。でも、次回にはもっと落ち着いた色を塗ろうと思っています。いつのことやら。 これで、この捏ね鉢基金のビンの役割は終わったかに見えましたが、人間欲を出すとキリがないもので、今度は粉挽きをやってみたくなりました。石臼をいただいたのですが、この修理に費用がかかりますし、また、最近は新しい粉挽きのミルがいろいろと工夫されて発売されていて、今度はこれを買おうというコンタンで、捏ね鉢基金は続けています。 みなさ〜ん、ぜひご協力ください。 10.そば汁の作り方 蕎麦汁を作るには、普通は”かえし”をつくって寝かしておき、それを鰹節をベースにした出汁で薄めて使いますが、自宅で作る簡単な方法があります。500ml(1人前は約80mlです)の出汁をつくるための方法を以下に記します。以下の少し辛めのつゆですので、適宜砂糖を加えたり、出汁を多目にするといいでしょう。 用意するもの: 醤油(100ml)、砂糖(11g)、味醂(20ml)、削り節(30g)、ダシ昆布(5×5cm) @ 即席かえしつくり……味醂(11ml)と砂糖(20ml)を鍋に入れて、味醂のアルコールを煮きっ て、砂糖を溶かす。@に醤油を入れて、小火で暖め、表面にアクの島が広がったら、アクを取 って冷やす。 A ダシ作り……事前に450mlの水に昆布をつけておき(約2時間)、それを火にかけ、沸騰寸 前に昆布を取り出す。そこに削り節を30g入れ、1分ほど沸騰させたら火を止めて、布でこして 削り節を取り除く。水は沸騰で少なくなり、約380mlになっている。 B 蕎麦つゆ作り……Aに@を加えて(@とAの比率は約3:10)、小火で暖め、味をみながら好 みで砂糖を加えなど味を調節する。 Cこれを水で冷やして出来上がりです。 ●この”かえし”は、たくさん作っておくと、たとえば、魚や鶏肉とからめて照り焼きに使えるなど、他の料理にも使えて便利です。ぜひたくさん作っておくことをお勧めします。 11.手打ちそばのゆで方……湯の中で蕎麦を強くかき回してはいけません! 生の蕎麦は水分を含んでいますので、火の通りが非常に早く、短時間でゆだります。 蕎麦を茹でるには、大きななべを使い、できるだけたっぷりのお湯で茹でてください。普通の5リットルほどの鍋ならば、できれば1人前ずつ茹でる方がいいでしょう。せいぜい2人前です。 生の蕎麦は、乾麺と比べると茹で時間は非常に短くなります。江戸蕎麦の1.2〜1.3mmの太さの場合では、沸騰した湯で40秒くらいでしょう。一般には、なべに80%満杯にした水を沸騰させた状態で、1、2人前の蕎麦をぱらぱらとほぐして入れ、くっつかないようにそっと箸でかき回し、再び沸騰してきたら、10-20秒ほどを数えてあげるくらいでいいでしょう。すぐに水を張ったボールに入れて流し洗いし、ざるに取ります。盛り付ける前に、冷たい水に浸すとしゃきっとしたそばに仕上がります。 湯に入れた時に、勢いよくかき回すと蕎麦は切れますのでご注意ください。蕎麦はラーメンとは違いますので、やさしくしないと切れます。 以上です。これに薬味の大根おろしや刻みネギ、ワサビを添えてどうぞ。 |