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蕎麦打ち日記1999年12月分

多くの心優しき奇特な方々の犠牲のもとに成りたっている、
蕎麦打ち日記であります。



忙しさにかまけて、手抜き工事ですが、ご了承くださいな。
新しい蕎麦屋さん情報もあります。旧月・昨年の分もお目通しくださいませ。

ここに登場する蕎麦屋さんの索引を作ってみました。urlは、
http://www.kaji.org/soba/diary/sobalist.html
です。日記に掲載してあるお店80数店を全部入れました。県別、地域別にひけます。
それ以前に訪ねたお店が紹介されていませんから、韮崎の「瓢亭」や
都内の気に入ったお店などが入っていません。機会を見て再度訪ねるようにしましょう。


●1999年12月28日/新橋・本陣坊の蕎麦を味わう


●本陣坊の柚きりとセイロの2色そば、鴨南蛮そば、板わさ、蕎麦味噌、枡酒


年末に用事があって出かけたついでに、久しぶりで新橋
本陣坊に寄る。この店は、新橋周辺で何度か場所を変え
ており、この10年くらいの間に何度か行ったことがある
が、そのたびに場所が変わっているような気がする。現
在は新橋2丁目、駅から5分ほどのところである。行っ
て驚いたが、何と店名を変えて経営していた姉妹店が、
近くに集まって軒を並べ、「手打ちそば横丁」とでも呼
べそうな感を呈している。天祥庵は同じビルの1階で、
入り口が隣り合わせ、その向いに味喜庵がある(写真下)。
この店は、刺身など生ものをおいていることでも知られる
が、今日は昼でもあり、何時ものように板わさと蕎麦味
噌で、ビールに枡酒をやる。蕎麦味噌は八丁味噌に蕎麦
の実を合わせ、紫蘇の葉で包んで出される。味噌と蕎麦
の組み合わせでは単調と考えたのかもしれないが、これ
だけの蕎麦と料理を出す店を考えると、紫蘇の葉がなん
となく安直な気がしてしまう。これはもうひと工夫望み
たいところである。
蕎麦は2色せいろと鴨南蛮蕎麦を食べた。蕎麦はさすが
である。2色せいろ(1,100円)は、時節柄もりと柚蕎麦で
ある。特に柚蕎麦は色といい香りといい、さすがの一言
である。まさに柚色のきれいな蕎麦である。聞くと、柚
の皮をむいて、これを何度もミキサーにかけて蕎麦に入
れるという。「ものすごく沢山の柚がいるんです」とい
う話しで納得する。今度は私も柚皮のすり卸しではなく、
フードプロセッサーで微塵にして、蕎麦粉にいれてみよ
う。柚と更科粉の組み合わせで、蕎麦そのものは二八蕎
麦くらいか。
圧巻は鴨南蛮そばである(1,800円)。大き目の鴨肉が、ふ
っくらと焼かれていて噛み締めると肉汁がじわーっと染み
出してくる。しかも特有の臭みがない。良質の鴨肉と事前
処理が、申し分ない仕上がりを生んでいることがよくわか
る。鴨の脂が蕎麦汁に溶け込んで、味に柔らかと旨みをを
出している。こういうのを食べると、「旨」み(うまみ)
に肉づき(月)が着いたものが「脂」だということが納得さ
れる。まさに、この鴨南蛮は絶品、お薦めである。この店、
夜は酒の客で混み合う。仕上げに蕎麦が、悪くない。
本陣坊 東京都港区新橋2-11-4 いずみビルb1 日祝休み
TEL 03-3593-3033 11:30〜14:00、17:30〜22:00
土曜日は11:00〜20:00

●姉妹店など
本陣坊の左隣に天祥庵、向いに味喜庵と3軒の蕎麦屋が
一角に並ぶ。いずれも同じようなメニューの姉妹店である。

●隣の天祥庵、向いに味喜庵。左・天祥庵、右・本陣坊が並ぶ。
それぞれの店はメニューは共通だが、各店が独自に蕎麦を打
っており、同じ蕎麦が出るわけではないという。天祥庵、本
陣坊の入っているビルの上階に蕎麦うち場があり、毎朝、各
店の職人が一斉にその蕎麦打ち場で蕎麦を打つという。さぞ
かし圧巻であろう。札幌のラーメン横丁ならぬ、手打ちそば
横丁である。それを意図した店舗配置であろう。
そして、この横丁のちょっと先には、これまた別経営の多佳
津なる手打ち蕎麦屋さんがある。いちど、機会を見てはしご
をしてみるか。


●1999年12月23日/秋田産の蕎麦粉で柚蕎麦をうつ



●秋田産中山の蕎麦粉と、切った十割蕎麦、そばがき、蕎麦

冬至の火に柚蕎麦を打ってみた。粉は秋田産の蕎麦粉を
である。七三蕎麦くらいで、打ったが、どうもやはり水
が多すぎる。粉が大量に水を含んでいるのである。写真
の一番左の写真が捏ねて居る時のものだが、これで、水
は通常の80%というところか。これでもう勝手にまとま
りはじめてしまうのだから、よほど粉が湿気ているのだ
ろう。いや、湿気ているというよりも、もともと水分を
含んでいるのだ。収穫前に大雨が降ったために蕎麦粉そ
のものが大量に水分を含んでいるのだ。
約500gの蕎麦粉に、柚1個を卸して使ったが、これで
は柚の香りが弱い。柚が新鮮ではなかったということも
有るがずいぶんと柚が居るものだと改めて感じた。蕎麦
は少し緩かったためか、コシの余りない蕎麦であった。


●1999年12月20日/上田・塩田屋の惣菜肴を味わう


●上田市・塩田屋の酒の惣菜肴とざるそば

上田駅近くの塩田屋さんというお蕎麦屋さんは手打ちの
蕎麦も悪くないが、ここではなんといっても酒の肴であ
る。いわゆるお惣菜で、ビールを頼むと1品、酒を追加
するとさらに1品……という具合で、酒を追加すると、
どんどん新しい惣菜肴が運ばれてくる。今年に入って、
数度伺い、皆さんと顔見知りになったおかげで、ビール
を注文すると、最初に写真左にあるようなお盆に載せた
たくさんの惣菜が運ばれてくる。この日は冬至が近いこ
かぼちゃを使った惣菜を出していただいた。日本かぼち
ゃなので、西洋かぼちゃの用に煮崩れない。しっかり自
己を主張していてサクッ、サクッという歯ごたえがあり、
独特の食感がいい。珍しい食感である。黒豆、白菜とおか
かの煮浸し、白滝とゴボウの煮物、大根煮、レンコン煮
に、漬け始めた野沢菜……などなど。合計7、8品あっ
たけれど、ビール1本、冷や酒2杯ではとても食べきれ
なかった。それと冬至の特性のほうとうかぼちゃ。紐皮
のさらに太い真田うどんをかぼちゃと、アズキなどで薄
甘く煮たほうとうかぼちゃは、このあたりで冬至に食べる
伝統的な食品だとか。写真の右上の黒い器に入ったのがそ
れである。蕎麦はざるを1枚。店を切り盛りしているあば
あちゃんが打つ手打ちそばが1枚500円、天ぷら蕎麦650円
という値段である。


●1999年12月18日/浅草・大黒屋の蕎麦を味わう


●浅草・大黒屋の「せいろ」と「そばがき」、メニュ、板わさ
焼き味噌と酒

浅草で友人たちとの忘年会があり、羽子板市が開かれて
いるということもあって、早めに出かけ、昼に大黒屋で
噂の蕎麦を賞味する。浅草寺の裏手、数分の住宅街にあ
る静かなお店である。店内は縦長で、入って右側がこあ
がりになっていて、20人も入れようか。左側に小さな
テーブルが2つ、それだけの落ち着いたお店である。
板わさと焼き味噌、小さな天ぷらでビールと酒を2杯。
酒は、新潟のひがん、栃木のびぜんを1杯づつ。日本酒
らしい日本酒で、びぜんの方が少し重めである。いずれ
の肴も悪くないが、なかでも蕎麦味噌は独特。炒った蕎
麦の実を味噌に混ぜて焼いているために、食べるとあら
れを食べているようなプツンという食感がある。酒の肴
としては独特の楽しい食べ物である。さて、蕎麦は、
そばがきとせいろをやる。そばがきは店主が「湯の温度
とかき混ぜ方」……と言うように、陶器の行平形をした
器に盛られて出てくる。この器に水を入れて火にかけ、
沸騰させて状態で、蕎麦粉を入れてかき混ぜる……そん
な作り方のようだが、それだけではない独特の柔らかさ
と粘りがある。生醤油を付けていただくが、キナコも付
いてきてこれは甘みがあり、女性たちには受けそうだ。
蕎麦粉は金砂郷を10個の石臼で挽く……というからその
年の入れ方は尋常ではない。そばがきはその石臼で挽い
た蕎麦粉の香りがみごとに生きていて、これは逸品であ
る。この店の人気メニュなのだろう、注文するお客さん
も多いようだ(1,600円)。
せいろ蕎麦は、口に入れると目立たないが、噛みしめる
と蕎麦の香りが一気に口中に広がる。しっかり打たれた
いい蕎麦粉を使った蕎麦というのはこういうものかと感
動すら覚える。これまで、最近は、しっかり打たれた蕎
麦があまり香りを感じないのはどういう訳か……と最近
手打ちそばや産事情にクレームをつけてきたが、ここの
蕎麦をいただいて、やはり蕎麦は香りだということを再
認識した。細打ち蕎麦を氷水で締めるというやり方の流
行で、蕎麦の香りが消えてしまったと嘆いていたが、や
はり香りのある蕎麦もあるということを再認識した。
「店主は柔らかな人当たりだが、厳しい蕎麦を打つ」と
いう相棒の言葉につい肯いてしまった。
一度ご賞味あれ。ただ、値段が少々高めなのが気になる。
せいろ1人前で1100円という値段は価値はあるとしても、
ちょっとキツイなあという気がする。
大黒屋手打ちそば 東京都台東区浅草4-39-2
TEL 03-3874-2986 12:00〜14:00、17:00〜22:00 日月休


●1999年12月12日/秋田産の蕎麦粉で柚蕎麦をうつ



●秋田産中山の蕎麦粉と、切った十割蕎麦、そばがき、蕎麦

秋田産の蕎麦粉を頂いたので、友人を招いて柚蕎麦と十
割蕎麦を打った。蕎麦粉は2種類。細挽きの粉と石臼挽
きの特A級という蕎麦粉である。良い粉だけになかなか
難しい。43%くらいの水で粉を水回ししていると、きれ
いにまとまってくるが、打ってみると、これでは水分が
多すぎるような気がしてくる。と言って、少な目でまと
めるとコシが出ずに、ぼろぼろになる。今年の蕎麦粉は
乾燥具合が良くないのかもしれない。というよりも、蕎
麦粉そのものが湿度管理を自分できちんとできないとい
うか、非常に不安定な状態なのではないかと思う。収穫
してからの処理が今年だけ良くないという事はないはず
だから、蕎麦粉そのものがそういう風にできているのだ
ろう。そういえば、今年は、全国的に大量の雨が降った
りして天候が不順だった。その影響が出ているのかもし
れない。とくに、収穫時期というか、季節が遅くなって
から台風が来たりという事があったために、収穫真近に
水分を九州しすぎたという事かもしれない。
細引きでユズ蕎麦を、石臼挽きで十割蕎麦を打ってみた
が、難しいの一言である。蕎麦粉は、適当に粘性を持っ
ていて、打っている時でもなかなかいい蕎麦粉だという
ことがよくわかる。
柚蕎麦は、濃い蕎麦の香りの底に、プーンと柚が匂い、
これは上品な仕上がりになった。なかなか評判である。
蕎麦粉をまとめた玉の右が柚蕎麦、左が十割蕎麦である。
柚蕎麦は、良く見ると、玉に黄色い点が見えるはずであ
る。これが柚の皮の卸したものだ。
石臼の十割蕎麦は、海苔をかけてしまって、不評だった。
考えてみれば、蕎麦粉は十割の粉を使ったのだから、海苔
は不要だったと反省した。この粉も、蕎麦香が強く、良
い蕎麦だが、海苔の分だけ、香りが薄れてしまったのは
失敗。次回からは気をつけよう。


●1999年12月11日/秩父産の蕎麦粉で柚蕎麦をうつ


●秩父産の蕎麦粉で打ったユズ蕎麦

寒くなってくると、ユズ蕎麦の季節である。9月に秩父
に出かけた時に買ってきた蕎麦粉があったので、これで
ユズ蕎麦を打ってみた。卸し器でユスの皮を卸し、蕎麦
まぜて捏ねる。蕎麦粉は約三七。柚の香りをもっと活か
すには更科粉がいいのだが、手元にないので仕方なしに
秩父産の全粒粉を使う。もっと小麦粉を入れてもいいの
やっぱり蕎麦の香りの拘ってしまうためか、つなぎを入
れる度胸がないのか、良く分からん。
捏ねた蕎麦粉には、右の写真を拡大して見るとよく分か
るが、小さな柚の粒がところどころに混ざっているのが
見える。これが柚である。正式にどのようにつくるのか
良く分からないが、まあ、自己流の柚蕎麦である。
早速茹でて試したが、なかなかの香りである。蕎麦の香
りの中にほんのりと柚が香る。乙なものである。上品な
さわやかな香りで、これがないとこの季節は満足しない。
店でいただくプロの正式な柚蕎麦も悪くないが、こうや
自宅で楽しむのもまた、贅沢というものかもしれない。


●1999年12月10日/新橋・竹邑庵太郎敦盛のあつもりを食べる


●竹邑庵太郎敦盛(ちくゆうあんたろうのあつもり)の
京都のお店らしい店内とあつもり、酒にニシン、店の前景
(残念ですが写真は拡大できません。ご了承ください。)

先月、尾崎氏が京都の竹邑庵太郎敦盛のあつもりを食べ
たと紹介してくれたが、この支店が東京にあるという連
絡をいただいた。一緒にいかが……?というお誘いだっ
たのだが、あいにくと時間がうまく合わず、打ち合わせ
の合間を見つけて、今日、1人で寄ってきた。
場所は、新橋烏森口を出て、約5分。旧桜田小学校の跡
地の桜田公園の角、中央競馬会ビルの横の通りにある。
聞くと5年前に開店したとのことで、そう言えば、この
店の「黒いそば」の看板は見た記憶がある。
店内に入ると、上がりがまちの所から陶器の食器などが
並べられていて、上がると広い畳敷きに入れ込みである。
4人座りくらいの1枚板の贅沢な座りテーブルが並べら
れていて、座布団が置かれている。この雰囲気は京都の
店と同じである。写真を写させていただいていいですか?
とお聞きしたら、「だめです」とのこと。お聞きすると
写真をかまわず撮影していって同じような店づくりをす
る人がいるとのことで、確かにこの作りはなかなか自分
では思いつかない。いわばパクリであるが、そのおかげ
で写真を撮影させていただけないのは悲しい。事情を話
して、何とかお目こぼしいただいて……といっても、笑
顔で「だめといったでしょ!」とダメを押されて撮らせ
ていただいた写真が上のもの。心根のやさしいおかみさ
んで、結局、しばらくお話を伺うことができた。
「東京の蕎麦好き人間は、コシが強くシコシコとした蕎
麦で、ツルツルと喉ごし良く食べられる蕎麦が好きで、
そのために、このあつもり蕎麦は苦手のよう。この店の
内装は真似しても、この蕎麦を真似て作る店はない」と
のこと。「黒い蕎麦と書いてあるけれど、福島にはもっ
と本当に真っ黒な蕎麦がある、とか福井でもあつもり蕎
麦のようなものがあるとか……」と蕎麦のウンチクを聞
かせていただきました。
さて、ニシンを肴に純米酒「きょうと」の冷やをやって
その後にあつもり蕎麦を1斤半いただいた。ニシンは、
さすがに京都の店である。甘からず辛からず味付けの頃
合いが何ともいえず、これだけのニシンがあれば1切れ
で3、4合の酒はいけそうな気がする。店の表には、サ
バの味噌で1杯どうぞ……と書かれているように、酒の
肴も豊富。湯葉、タケノコ……の煮付けなど、このお店
は夜にゆっくり酒を飲んで、最後の締めに蕎麦を……と
いう蕎麦好き酒飲み人間の理想的なコースができる店だ。
さて、蕎麦は基本的には、冷たい皿そば(追っかけ)と
あたたかいあつもりだけ。追っかけは5皿が950円、追
加の1皿は100円。あつもりの1斤で950円。1斤半もある。
小生が食べたのは1斤半。
写真のように、桧の箱の下3分の1あたりのところにセ
イロを引いてあり、その上に蕎麦が乗せられている。セ
イロの下には湯が入れられていて、その形で、蕎麦をセ
イロ蒸しにする。熱々に蒸し上げられた蕎麦を、ネギが
たっぷり入れられたお椀の暖かい汁につけて食べるとい
うなんとも嬉しくなるような蕎麦である。
東京の人にはあまり馴染めないよう……とおかみさんは
言ったが、セイロ蒸し……暖めた蕎麦から匂うような香
りが立ち上って、これはこれで、なんとも形容し難いう
まさである。「なるほど、噂には聞いたが、美味なるも
のであるなあ」……というのが素直な印象である。
蕎麦の汁は辛め。東京のかつおに比較して、関西ではジ
ャコを使うケースが多いが、単なるジャコというのでも
ない、しっかりとダシを取った濃厚な味である。
店の表には「黒いそば」と大きく書かれているように、
全粒粉の生粉蕎麦である。これならば、皿そば、追っか
け蕎麦もうまいはず。次回は一度、夜の酒とともに追っ
かけ蕎麦を味わってみたい。
竹邑庵太郎敦盛 東京都港区新橋]3-15-6
tel 03-5473-8803 11:00−15:00、17:00-23:00 日祝休み


●1999年12月09日/横浜・谷津坂屋の蕎麦を食べる


●谷津坂屋のかき揚げ天ざる、その”ざる蕎麦”部分、カケそば

おっちょこちょいの本領を発揮してドジをやってご迷惑
をおかけしてしまった。谷津坂屋さん、申し訳ありませ
んでした。何をしたのかというと……無銭飲食をしてし
まったのです。いつも小銭入れ(量多し)と札入れ(量少
なし)を持っているのだが、出掛けに急いだために札入れ
を持たずに出かけてしまったのだ。小銭入れに交通費と
少しくらいの硬貨が入っていたために、札入れを持って
いない事に気づかず、かねてから聴いていた谷津坂屋さ
んに入って、食事をし、帰る段になって札入れのないこ
とに気づいた……という次第。申し訳ありません……と
事情を話し名刺を差し出して飲食代をお借りし、帰宅し
てあわててお送りしたという次第である。恥ずかしい話
しです。ご迷惑をおかけしました。
谷津坂屋さんはインターネットの世界では知られたお蕎
麦屋さんで、検索エンジンでも手打ち蕎麦でひけば出て
くるし、詳しい説明はそちらを見ていただいた方がいい
だろう。粉は北海道十勝産の甘皮を取り除いた芯を石臼
で引いた蕎麦粉で二八蕎麦を打つ。だから、色は弱冠薄
で、香りも控えめ……という蕎麦である。人気のかき揚
げ天ざるをいただく。ざる蕎麦はコシがあって悪くない。
予想したように香りが控えめなので、かけそばを急遽、
注文して食べてみる。普通、セイロの後にかけそばを食
べると、蕎麦の香りが充満して蕎麦香にむせるがごとく
になるのだが、ここのかけは香りも控えめ。小生として
は少し物足りないが、これはこれでファンがいるかもし
れないという気がする。セイロ、かけそばいずれも480円
上記のかき揚げ天ざるでも780円という値段である。この
値段で手打ちの二八蕎麦が食べられる……というのは良
心的という以外にない。場所は京浜急行能見台駅前。
不定休だが、休んでいるかどうかはホームページで見ら
る常設の店内ライブビデオで確認して欲しいという、変
わった店である。
谷津坂屋さんのホームページは
http://www.seaple.icc.ne.jp/~tnetk/yatuya.html
横浜市金沢区能見台通1-3 谷津坂屋ビルB1F
tel045-701-9533 11:30-15:00、17:00-20:30 不定休


●1999年12月04日/北海道産の新蕎麦粉で蕎麦を打つ


●北海道産の蕎麦粉で打った十割そば


前日伺った蕎花さんで北海道産の蕎麦粉を分けていただ
いたので、昼食にさっそく打ってみた。プロの蕎麦うち
職人にはとても及ばないが、それでも何とか自分が食べ
るぶんくらいは作る事は出来る。教えられた通りの水で
十割蕎麦を打った。さすがは北海道山蕎麦粉である。
熱湯と水50%づつで打ってみたが、香りもあり、やはり
打ちたて、茹でたて……で味わう蕎麦はこたえられない。
一人で食べるのがもったいないようだ。
北海道産の蕎麦粉は始めてだが、蕎花さんの石臼挽きも
あってだろうか一口目には甘みが強く感じられて、ちょ
っと驚いた。コシは蕎花さんにはかなわないが、それで
もそこそこのコシはある。やはり蕎麦は蕎麦粉が決め手
……というが、こうして打ってみるとよく分かる。
結局、今日の昼飯は、右の写真のように蕎麦だけという
ことになってしまった。とはいえ、あとの蕎麦湯の味も
また格別で、満足しました。

昼の打った蕎麦の残りを夕食にかけそばでいただいた。
せいろ蕎麦と違って、かけそばを食べるたびに、この香
りの良さを何とかセイロ、もり蕎麦で出せないか……と
残念に思う。特に最近は、コシを重視して最後の化粧水
に氷を溶かした冷たい水をかけるケースが多くなったた
めに、茹でられ暖められて開いた蕎麦が冷たい水で冷や
されてキュっと締まってしまう。蕎麦の香りというのは、
蕎麦粉が水や暖かさで溶け出して醸し出す香りのハズだ
から冷やすという行為は逆に香りを抑える役割を果たし
てしまうことになる。「蕎麦はコシが命」……とか言う
それらしい意見がまかりと通っているけれど、果たして
香りまで押さえてコシを求める必要があるだろうか。こ
れだけは、香りを活かして欲しいと思う。「コシが命」
の前に「香りがあっての話」ということを主張したい。
残念だけれど、ここで写真を置いている小生が打ったそ
ばは、せいろでも香りだけならどこにも負けないと言い
たいくらい蕎麦香の強い蕎麦ができる。なぜだろうか?
氷で冷やすという行為は、食べる側の論理ではなく、コ
シのある蕎麦……という腕を客に自慢したいと考えてい
る麦打ちの職人、ないしは蕎麦店側の論理であって、客
の立場に立ってみればコシも重要だが、もっと蕎麦の香
りを味あわせて欲しいと考えるのではないだろうか。
プロの方には申し訳ないが、どうにも最近の風潮には、
流行に惑わされた所があるように感じられ、ちょっと残
念に思っているところなのです。


●1999年12月03日/蕎花(そばはな)の新蕎麦を味わう


●蕎花のせいろ、鴨南蛮、蕎麦稲荷、ミニそばがき、天ぷら、やまかけ豆腐と蕎麦味噌


町田市と相模原市、大和市が接触する一角は、最近は手
打ちそば屋さんがたくさんある、蕎麦好きにはこたえられな
一角であるが、蕎麦屋さんにとっては、生き残りをかけ
た戦いが求められる一大激戦区である。思い浮かべるだ
けでも、三峰庵(相模原)、そばの里(町田)、ころも(大和)、
一葉(町田)、十割そば(相模原)……と5軒が軒を連ねて
いて、厚木には宮本庵もある。町田市内には、他にも2、
3軒の店がある。生き残りは大変である。……さて、
打ち合わせの後、おいしい蕎麦を食べたい…というので
夜7時過ぎに町田近くの大和市下鶴間の「蕎花(そばはな)」
に出かけた。このお店は昔は町田市内にあったのだが、数
年前に下鶴間の旧16線沿いに移転してきた。町田市内の
開店当時は、若き店主が「とにかく十割蕎麦にこだわり
たい」……と熱っぽく語っていたのを記憶している。

下鶴間に移転してからも一度昼を食べに出かけた事はあっ
たが、この日記を始める前の事で、この日記ではこれが
始めての登場である。この日記をみてくださった蕎麦好きの方
から、下鶴間に「蕎花」というおいしい蕎麦屋さんがあ
りますよ……と教えていただいたりしていたが、なぜか
ご紹介することもなくこれまで来ていた。
蕎麦は十割蕎麦のみという拘り方。若さをそのまま蕎麦
にぶつけている感じで、蕎麦もそんな直線的な蕎麦だ。
茹で上がった蕎麦は角が立っていて、しっかりと打たれ
ているのがよくわかる。
蕎麦の前に酒を一杯……という事になる。酒の肴はいろ
いろと用意されているが、蕎麦好き、酒飲みの3種の神
器、厚焼き卵、板わさ、漬物……のうち、後者の2点が
ないというので、はたと困ってしまった。酒は飲みたい
が、かといって余り腹には溜めたくない…というのが蕎
麦食いの酒飲みの特徴なのだが、蕎麦豆腐、ごま豆腐の
大きさはいいとして、やまかけ豆腐になると、豆腐が一
丁ほどの大きさがあり、これでもう腹がくちくなってし
まう。量的には、小さ目の天ぷらを2人で食べて、それ
に蕎麦味噌と板わさ、漬物があれば、ビール1本、お酒
2合をのんで、最後に心安らかにせいろを1枚掻き込め
るのだが、結局、上の写真にあるように満艦飾の、なに
やら忘年会風の注文の仕方になってしまった。

こうした肴の用意具合を見ると、どうやら御主人が酒の
みではないことがよくわかる。蕎麦味噌もどちらかとい
うと、具がたくさん入って本来の蕎麦味噌の風味が薄れ
てしまっているような気がするが、どうであろうか。若
い人向きの肴としてはいいのかもしれないけれど。
蕎麦稲荷は十割蕎麦が使われているだけに、蕎麦の香り
が十分に生きていて、味は出色。ただ、中のそばにもう
少し”しっとり”感が欲しい気がするが、十割蕎麦では
つなぎの悪さは多少我慢するしかないかもしれない。そ
れでも、この稲荷は蕎麦の香りのよい逸品である。

そばがきも、この店独特といってもいい。非常にやさし
いそばがきである。口に含むと、蕎麦の香りが柔らかな
感触で口の中に広がり、新蕎麦のみずみずしさがそのま
食べ物になった……という感じである。赤ちゃんの掌を
思わせるような柔らかさ……なかなかのそばがきで、こ
れもお薦めである。
町田時代にいただいた天ぷらは、まだまだ修行中という
印象であったが、今回いただいた天ぷらは香りも色も、
やっと天ぷららしくになってきた。あの頃には蕎麦の事
だけで手一杯だったのが、やっと天ぷらまで気が回るよ
うになったという事なのかもしれない。

さて、蕎麦であるが、しっかり打たれた十割蕎麦である。
北海道産の蕎麦粉を使い、「何とかもちもち感を出したい」
と御主人。なるほどうまく打たれたいい蕎麦だが、十割で
もちもち感を出すというにはいま一歩。難行に挑もうと
いうその気やよしとしたい。今後の展開に期待したい。
鴨南蛮蕎麦は、鴨肉とネギがふんだんに入っていて、サ
ービスの良さは店主の心意気か。 このお店、なりふり構わずに蕎麦の味を追ってここまで
来た……というところか。こういう若い店を育てるのは
なによりも客足だろう。
一度、若い蕎麦の味をお試しいただきたい。
蕎はな 大和市下鶴間820-1 0462-75-2020 休なし
11:30−20:00 毎週火曜日は食べ放題とか。







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