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蕎麦打ち日記1999年7-8月分
多くの心優しき奇特な方々の犠牲のもとに成りたっている、
蕎麦打ち日記であります。
忙しさにかまけて、またまた手抜き工事です。ご了承くださいな。
新しい蕎麦屋さん情報もあります。旧月・昨年の分もお目通しくださいませ。
ここに登場する蕎麦屋さんの索引を作って欲しいとの要望が寄せられています。
できれば、そうしたいところですが、隠居しごとになるやもしれません。
そのうち、リストでも作ってみましょう。いつのことやら……?
●1999年8月25日/軽井沢・かぎもとやのそばを味わう

●軽井沢駅前・かぎもとや支店の大ざるそば
中軽井沢の駅前にある蕎麦屋「かぎもとや」は、かつて文士したち
軽井沢に集っていた頃、彼らがこよなく愛したという伝説の蕎麦屋
である。そのかぎもとやが、最近、軽井沢の駅まえに支店を出した。
春の頃に来た際にそれに気が付いていたのだが、どうせ行くなら知
っている蕎麦屋よりも新しい蕎麦屋が良いということで、これまで
足を入れなかった。というのは、中軽井沢駅前の本店の蕎麦は、一
度味わっており、まあ、一度でいいかなと思っていたせいもある。
今回、軽井沢に用事があったついでに、新幹線の発車まで時間があ
るということもあり、寄ってみた。
蕎麦は、本店で一括して打ったものを運んでくるとのことで、味は
本店と変わらぬ。かつて文士たちがこよなく愛した伝説の蕎麦とい
うには、今の蕎麦はあまりに残念。二八蕎麦であるようだが、蕎麦
の香り、コシともにもうひとつ。本店では蕎麦打ちの風景を店内か
ら眺められるが、一度に打つ量がベラボーに多い。大きめの店で、
お客さんがひっきりなしに入っているのだから、そうでもしなけれ
ば間に合わないのだろうが、それにしても、一度に30cmくらいのバ
スケットボール大の蕎麦を打っている光景をみたことがある。
これでは、うまい蕎麦をしっかり打つ……というのは、なかなか至
難の技と思われる。まあ、町の蕎麦屋産よりはましだが、手打ちそ
ばが、町の蕎麦屋さんと比較されてはおしまいである。軽井沢は町
中に、「手打ちそば」と看板を出した蕎麦屋が何軒かある。駅前に
も有るが、駅前の店もほとんど試したが、駄目である。軽井沢は蕎
麦は全滅なのか? 山長の黒うどんの店があったが、こちらの方が
無難のようだ。これはうまいよ。
●1999年8月22日/茅野・花蒔・登美のそばを味わう
●茅野市・花蒔・登美のせいろそば、右はメニュ
茅野市から蓼科に向かって旧有料道路を少し登ったとことろにある
「登美」にゆく。ここは、上諏訪に立石の展望台にある店の支店で
立石の店は以前一度出かけたことがあり、なかなかの蕎麦を食べさ
せる店と記憶している。友人に、茅野で蕎麦屋は……と聞いたら、
この「登美」がいいと教えられ、出かけてみることにした。
頼んだのは、ナス田楽の味噌仕立てでビールをやり、その後でせい
ろ蕎麦(700円)を一杯。二八蕎麦とのことだが、なかなかコシがあ
って、しっかり打たれた蕎麦である。色も香りもなかなかで、これ
はこれで、立派な蕎麦。欲を言えば、さらにそばの香りや甘みが欲
しいところで、これは二八蕎麦としては無理な注文かも知れない。
普段は、田舎、更科などをいれた3色蕎麦(1200円)などが有るよう
だが、この日は、残念ながら用意していないとのことで諦めた。次
回は是非、田舎蕎麦も食べてみたい。
ちなみに、諏訪市立石にある本店とは、別に打っているとのことだ
が、腕はそん色ないとみた
茅野市花蒔 0266-78-2717
●1999年8月22日/茅野市米沢塩沢・長寿更科の蕎麦を味わう
●茅野市・長寿更科の十割ざるそば
茅野から蓼科に行く途中、車を降りて、散歩をしていたら、ある家
の庭で(と思ったら作業場だったと後で判明)、杉の皮むきをして
いる人たちがいたので、これを見学していたら、蕎麦の話しになり
近くにある「長寿更科」がいいとのことだったので、早速、歩いて
5、6分の所にあるその店まで歩いて行き、試してみた。
茅野から蓼科に向う道の米沢あたり、左側にある店である。日曜日
ということで、大変な混雑だったが、待ったのは15分ほど。入り口
メモ帳に名前を書いておき、順番に席に案内される仕組み。蕎麦は
ここも二八蕎麦が基本で、全ての二八蕎麦のメニュに200円プラスす
ると十割蕎麦を代えられるという親切さである。十割蕎麦のざるそ
ば(1000円)を試したが、コシもあり、香りも充分、しかも蕎麦の甘
味が充分に感じられて、これは予想外の驚きであった。この十割蕎
麦が900円で食べられるとは、ちょっとした驚き、お薦めである。
外から見ると、観光地の蕎麦屋さん風で、子供連れの白樺湖・蓼科
高原に出かけてきた人たちが中心の客層。しかもメニュに子供用の
お子様ランチがあるという店なので、期待は余りしなかったのだが、
食べてびっくりという店であった。蕎麦の甘みをこれほど感じられ
蕎麦はそうあるものではない。大きな店で、忙しそうな時間だった
ので、詳しい話しも聞けなかったが、蕎麦粉もなかなかのものとみ
た。再度でかけて、ゆっくりと楽しんでみたい。この店はうちたて
蕎麦を味わうという点で、昼がお勧めかもしれない。二八もり700円。
十割ざる900円。他に天ぷらなど各種。
茅野市米沢塩沢入り口 0266-73-6606 11:00-20:00 火曜日定休
●1999年8月21日/茅野・更科そばを味わう
●長野県茅野市・更科そばの十割蕎麦
仕事の用事で茅野で宿泊することになり、21日(日)の夕方に茅野で
このところ知られるようになったという更科に行ってみる。蕎麦粉
が長野県内も少なくなったとかで、蕎麦粉は全部が長野産とはいか
ないそうだが、それでも出来るだけ集めているという。二八蕎麦が
メインだが、十割蕎麦も提供しており、それならばと十割蕎麦を注
する。十わりといえば、普通は挽きぐみだが、出された蕎麦は、い
わゆる薄い蕎麦色。後で聞いたら、挽ぐるみではなく、比較的中の
部分を挽いているという。食べてみると、コシはまあまあだが、香
りがすこし弱い。十割蕎麦の魅力は、主張しすぎるくらいの強烈な
蕎麦の香りと考えていたし、また、殻の部分を引き込むことで強い
コシが生まれると考えていたが、あえて十割蕎麦で香りや越しを減
ずる方法で蕎麦を打とうという意図がもうひとつ理解できない。
なるほどと納得するものが食べた限りは感じられなかったのは残念
であった。むしろ、二八蕎麦の方が良いかもしれない。次回、もし
行く機会があるならば、二八蕎麦を食べてみよう。
●1999年8月13日/栃木・出流そばを味わう
●栃木市・出流山満願寺山門前のいづるそば一升、猪口と徳利、メニュ
盆に久しぶりで、栃木市郊外にある出流山満願寺山門前にある、出
流蕎麦(いづるそば)を食べにでかけた。十数年前に一度出かけた
時には、手打ちそばを食べさせる店は、少なかったように記憶して
いるが、久しぶりで出かけたら、パンフレットもできていて、蕎麦
さんも軒を並べている。このところの蕎麦ブームで急に増えたよう
だ。以前の記憶では、非常にプリミティブな蕎麦屋さんがあって、
田舎家がついでに蕎麦を打って食べさせている……といった趣だっ
た。そのため、蕎麦の注文も、1升とか5合とかと注文して、でき
るまで延々と待たされた記憶がある。
その時の記憶では、蕎麦の香りの強い、しっかり打ったなかなかの
蕎麦であった。しかし、今回行ってみて味わった蕎麦は、昔の名残
はまったくない。メニュには昔風に一升、5合……と書いてあるが、
そんな味わいは残念ながらない。入った店は1軒だから、全体がそ
うではないだろうが、ちょっと残念。いづるや、いしやま、松屋、
福松、福寿屋……と5軒の蕎麦屋があるようだが、どこか1軒くら
いはしっかりした蕎麦を食べさせてくれるかもしれない。人気は「い
づるや」が一番のようだが、名前がいづるやで、一番手前にあるた
めかもしれない。どなたかお試しいただきたいものだ。
●1999年8月11日/驚きの初体験「山口・菊川町の手延素麺」
山口県の知人から、山口・豊浦郡菊川町で作られている手延素麺を
送っていただきました。不勉強にも山口で素麺が作られていること
を知りませんでしたが、これがなんと、なかなかのものなのです。
添付されていた説明書によると、「江戸時代の中期頃、長府藩主の
毛利匡豊が徳川十代将軍家治(1760-1786)に、藩の名産物として、
毎年6月に献上していた」との記述が武監に明記されていると紹介
されていますから、山口・菊川町での素麺作りはかなり古いようで
もっとも、山陽地方に行きますと、かなりあちこちで素麺作りが行
われていますから、そう珍しいことではないようですが……。
…というわけで、麺に目のない小生としては早速いただきました。
これが、どうしてこたえられないんですねえ。5,6分茹でて…と
書かれていましたが、少し多めの湯で少し短め、そう4分くらい茹
でて、さっと洗って冷やして頂くと、これがまあ、しっかりしたコ
シが、ピアノ線のように凛として自己を主張しながら冷たい風にな
ってすーっと、喉を通りすぎてゆくんですなあ。まあ、何ともいえ
ぬ喉ごしの感触で、堪らない逸品なのでありますよ。
素麺というとどうしても、奈良や小豆島……と思いがちですが、山
口にもこんな逸品があったとは知りませんでした。たかが素麺と考
えずに、ちゃんと茹で方を工夫して味わってみると、新しい発見が
できるということかもしれません。こんなに真剣に素麺を茹でたの
も、久しぶりのことでした。気が付かないけれど、逸品というのは
あちこちにあるものなんですね。
豊関農業(株)0832-87-1234 製造者に竹井芳枝さんという名前があ
るのも嬉しいですねえ。
●1999年8月11日/藤沢・なかむら庵分店
●藤沢・なかむら庵分店の、そばあられ(左)ともりそば(右)
都合でちょっと早めに墓参りということになり、藤沢に出かける。
ここは、駅前に、鎌倉の「なかむら庵」の分店があり、墓参りの恒
例に寄ることにしている。信州川上村産の蕎麦粉を使い、しっかり
とした10割蕎麦を打つ店で、香りといい、こしといい、申し分のな
い蕎麦を打つ店である。この店に寄るのが楽しみなのだが、いかん
せん店がせまい。ほんの4畳半ほどの店内には、それでも9〜10人
くらいが入れるのだが、昼時になると、どうしても待つ客ができて、
落ち着いて食べられないというのが難点である。
ビールのお通しが、この店は変わっていて、蕎麦のみで作ったあられ
(写真)である。薄い塩味がほどよく、悪くない。もりそばとおろし
蕎麦をたべたが、おろし蕎麦は、ざる蕎麦に、おろしが着くだけと
というもので、ちょっとさみしい。
蕎麦はこの時期、夏と言うことで、どうしてもダレる。この店にし
て、こし、香りともこの状態であるから、時期が悪いとしか言いよ
うがないのかもしれぬ。昨年の蕎麦粉は、どうやら信州川上村でも
芳しくないとみた。力強さがないということなのであろう。昨年は
蕎麦にとっては苦難の年であったようだ。
●1999年7月15日/塩尻・丸泉
●塩尻の丸泉のせいろそば、かけそば(約半量)
旅の最後に、塩尻の丸泉へゆく。旅の間に、通算食事は、13日夕食、
14日朝、昼、夕食、15日朝、昼……と6回の食事の機会があったが、
考えてみたら、三峰庵、恵比寿、寿美久、くらいす夕食、朝食、徳
利屋、丸泉……と7回も蕎麦を食べていたことになる。食事と名の
つく機会にはすべて「蕎麦」を食べ、しかもハシゴまでしていた…
…というアキレた旅である。
さて、旅の最後にたどり着いたのが丸泉である。塩尻市郊外の畑の
中にある、小さな屋敷林に隠れるような古い家を利用した店である。
蕎麦は九一。薄めのつゆに味噌がついてきて、好みでその味噌で味
の調整をするという、変わった店だ。薄めのつゆがどうなるのか、
今回は、せいろそば(1000円)に加えてかけそば(1100円)を初め
て頼んでみたが、これせいろと同様につゆは薄めで悪くないのだ。
「お客様は上品な味とおっしゃってくださいます」とのことだが、
確かに、薄めの上品な味だ。「場所柄、江戸前ではなく、むしろ名
古屋から関西系の汁の味に近いのでは?」というのは同行した相棒
の意見だが、なるほどそういう味だ。東京人は、この薄さではせい
ろ蕎麦もかけそばも食べられないのではないだろうか。テーブルの
うえに置かれている醤油もたまり風味だが薄味の醤油である。
さて、しっかり打った蕎麦は香りも豊かで、小生も気に入った逸品
だ。この蕎麦は、先代からの伝統だ。そう思って食べていると、な
んとなく先代が思い出されて、似ている蕎麦だが、こし、味ともに
物足りない思いが出てくるのは、先代を神格化しはじめてせいだろ
うか。あるのは先代の蕎麦が脳の片隅にでも残っているせいでもあ
ろうか? とはいえ、それを差し引いても十分に逸品の名に値する
2代目の蕎麦である。
塩尻市大字洗馬太田775 tel0263-52-2909
●1999年7月15日/奈良井宿・徳利屋
●奈良井宿にある徳利屋のせいろそば、冷やかけそば
奈良井宿に寄り、散歩した後で、昼食に徳利屋の蕎麦を味わう。
奈良井宿でも大きな家で、どっしりした構えとゆったりした間取り、
空間は現代では考えられない作りだ。開け放し、スダレを回した店
内は、開け放った畳敷きで、冷房が不要なくらい、風通しが良い。
注文したのはせいろそば(700円)と五平餅定食(1200円?)、それに
ビールを1本。お通しに冷や奴(この豆腐がしっかりと詰まってい
て、大豆を凝縮したようなうまみのある一品だった。この土地で作
っている豆腐です……との事だ)と香の物は2つずつ出してくれる。
香の物は定食についているはずなので、サービスということだが、
こうした小さな親切がうれしい。そばは、土地の蕎麦粉だけでなく
いろいろとアチコチのものを使うそうだが、香りもあり、こしもし
っかりとしていて、なかなかの逸品である。定食についているそば
はせいろそばを小ぶりの椀に入れて冷たいつゆをかけた「冷やかけ」
だが、五平餅のつゆ代わりに食べるようになっている。朝のおにか
けそばがまだ胃に溜まっていて、五平餅は包んでもらったが、これ
も半殺しの餅がしっかりと詰まった逸品。冷やかけは、ツユの味・
濃さがなかなかで、暑い夏にはこれも悪くない。少し薄めかと思う
くらいの汁なので、比較的上品な味に仕上がっている。
木曽奈良井516 tel0264-34-2189
●1999年7月14日/飛騨・高山/恵比寿・寿美久
●恵比寿のせいろ、寿美久のせいろ
飛騨高山も蕎麦では知られたところで、うまいとうわさされている
店がいくつか有るが、なかでも、一番評判なのが「東山」。何でも
も、蕎麦を自家栽培し、石臼での製粉で手打ちにしている……との
ことで楽しみにしていたが、あいにくと毎週水・木は休みとのこと
で、あきらめ。では、次善の策……ということで、さる蕎麦本で紹
介されている恵比寿へと出かけてみよう……ということになる。
探しているうちに、近くに1軒、寿美久なる店があり、手打ち、味
自慢……と書かれているのを見つけ、まあ、試しに1っ杯……と入
ってみる。寿美久のせいろは蕎麦の香り、こしともにまあまあり、
店主の思いは伝わる。一方、雑誌で紹介されていた恵比寿のせいろ
は七三蕎麦だが、香り、こし、つゆ……どれもこれはと思うポイン
トが感じられないのが残念でした。恵比寿は、本店、西店、南店と
あるようだが、蕎麦は全て西店で打って届けているとのこと。どこ
での同じ蕎麦が出るよう。本で紹介されている時代から打ち手が変
わったようだ。蕎麦と限らず、料理はこういうことがあるから要注
意である。
●1999年7月13日/相模原・三峰庵
●左から、せいろそば、うめそば(温)、メニュ
開田高原のひゅって・くらいすに蕎麦の種まきに出かける前に、景
気づけにおいしい蕎麦を……というので、相模原の住宅街にある、
三峰庵に行く。質の良い蕎麦を食べさせるこの店は夜8時までに入
れば1時間くらいは食べていられる……といううれしいお店だ。
車で出かける前……ということで、酒は控えて軽く蕎麦をやる。
注文したのが、せいろ蕎麦(700円)とうめそば(1100円)。
基本は二八蕎麦だが、こし、香りとも、しっかりと感じられてなか
かのものである。以前来た時に、蕎麦粉は北海道を中心に使ってい
ると聞いた記憶があるが、香りも、こしも申し分ない。一級の蕎麦
である。
うめそばは、梅の香りがほのかに、薄めのつゆにとけて、何ともい
えない上品な味。かつおの香りと梅の香りは、かつお梅……なども
あるくらいだから、良く合うはずだが、これもお薦めの一品である。
場所は、相模原市光が丘2-22-1 tel0427-56-7478 毎週水・木休み
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1.<のらりくらり蕎麦打ち日記>……98年4月から
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