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蕎麦打ち日記1998年4月分
多くの心優しき奇特な方々の犠牲のもとに成りたっている、蕎麦打ち日記であります。
●1998年4月29日(水)[緑の日]駒ヶ根の蕎麦粉で二八蕎麦を打つ

世の中には、2種類の人種がいる。蕎麦好き派とウドン好き派だ。大
阪以西にいくと、圧倒的にウドン社会になるが、逆に、うどんの原料
になる小麦は、東京から東の方がいいものが作られているようだ。横
浜に出たついでに、小麦粉を買ってくるが、これはいつもの南部産の
もの。粒子が細かく、一度、息などを吹きかけて空中に飛ばしてしま
うと、なかなか舞い下りない……という厄介な代物だ。逆に飛びやす
い……ということでもあり、この粉を扱うときにはいつも、回りに粉
が飛び散る。
慎重に丁寧にそっと触れるように扱っても、勝手に飛び散るという困
った奴だが、ウドンを打つとこれがなかなかいい。腰の強いウドンに
なるし、蕎麦打ちのつなぎとしても悪くないのだ。困った奴ほど味が
あるというのは、どうやら、どの世界でも通じるようだ……。
駒ヶ根の蕎麦粉と南部の小麦粉を8対2で打ったそばが上の写真。駒
ヶ根の蕎麦粉は、扱ってみると、粒子はわずかに粗いようだ。もう少
し、細かく挽いてもいいように思うが、これは、注文を受けている蕎
麦屋さんの希望なのだろうから、仕方があるまい。
南部小麦の細かさと駒ヶ根蕎麦粉の粗さで、かえって、蕎麦香が強く
なっているような気もするが、これは気のせいかもしれぬ。こういう
手前勝手な思い込みは、素人の得意なところだからね。
●1998年4月19日(日)旬の竹の子と二八蕎麦
今日は午後からIMASYの打ち合わせがあり、夕方に戻る。明日までの
仕事が大量に残っているので、徹夜を覚悟する。仕事って言うのは、
不思議ですねえ。沢山残っていて、締め切りが迫っているほど、する
気がしなくなってくる。打ち合わせが終わり、夕方、事務所に戻って
さて、仕事か……と思ったら、もう夕飯の時間。早めに済ませて、後
は仕事に専念しようということで、蕎麦打ちを始める。
今日の蕎麦は、駒ヶ根の蕎麦粉、何時ものように約100gとつなぎの小
麦粉約25g。これで、125gだけれど、水を約60g入れるので、出来あ
がった蕎麦は125+65=190g。これは約1.5人前ですねえ。ちょっと多い
かな……という量です。これ以下では、あまりうまくない気がします。
いつものことですが、蕎麦粉に水を加えたときの香りは感動ですねえ。
この日に打った蕎麦打ちプロセスは、蕎麦打ちページで、御覧いただ
けます。同ページの右に入れてある写真がこの日のものです。
大和に住んでいる友人が、例年、この時期に、自宅の山で採れた竹の
子を届けてくれます。この日、朝起きて採った竹の子をその場で米の
とぎ汁で茹でたもので、新鮮でアクは完璧に抜かれていて、少しをス
ライスしてオロシ醤油で食べ、1本を煮たものをおかずに、蕎麦を食
食べる。季節を感じますねえ。結局、仕事にかかったのは夜8時から。
12.5枚の原稿が終わったのは、明け方の6時半。2時間ほど寝て、出
かけました。
●1998年4月17日(金)相模原・「ころも」の蕎麦


今日の仕事で、ひょっとすると秦野中井の丹沢蕎麦の店、「石庄」
に行けるかもしれない……と書きましたが、結局、行けなかった。
その代わりに、帰り道に寄ってきたのが、大和市下鶴間にある「こ
ろも」。この店は、246を上ってきて、16号にぶつかる手前を左に
入ってすぐのところにある店で。店の作りに文句はないし、蕎麦も
なかなかのものを出す。更科粉を中心に使った蕎麦で、色が白っぽ
くなるのは仕方ないが、蕎麦らしい香りもきちんとあるし、喉越し
も悪くない。味も店作りもは申し分はないのだけれど、どうしても
行く気にさせないものが一つある。それは、焼き肉がメニューにあ
ることなのですよ。あなた、申し分のない蕎麦を食べているときに、
隣のテーブルで、ジュージューと肉を焼かれて、脂ぎった臭がして
くると、とても、蕎麦など食べている気分じゃないんですねえ。
「何を食おうと勝手だ!」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう
けれどが、あたしゃ、焼き肉の臭いの中で蕎麦を食おおって、気に
はなれませんです。
今日、行ったのは午後3時半頃で、家族で食事という時間を外せば、
さすがに焼き肉の臭いはないだろうと……思ったわけで、まあ、今日
は静かに蕎麦を食べられました。
小さな生のワサビがサメの皮のオロシ器と一緒についてきて、その
横にネギと大根おろし。これで、(もり)が一人前650円。
この蕎麦で、この値段はまあ、お勧めといっていいでしょうねえ。
でも、普通に人なら2枚は食べないと量は足りないでしょうね。御
前せいろが650円で、追加の1枚が400円。計1050円です。
午後の休み時間がなく、通しで夜までやっているのもいいですね。
と言うわけで、今日は「石庄」の代わりに「ころも」の蕎麦を食べ
てきました。
御前というのは、更級粉が白いために上品=御前に供されたという
ことからつけられた呼び名のようです。
●1998年4月16日(木)丹沢「石庄」のそば
明日、取材で、午前は大相模カントリークラブへ、午後は座間市の
日産工場へ行きます。……となると、どうしても寄りたい店が有り
ます。東名で、秦野中井を降りた246号線沿いに丹沢蕎麦「石庄」と
いう店があるのです。この店は、まあ、国道沿いでドライブイン風
の構えなのですが、蕎麦は絶品です。最初に入ったときに、入った
瞬間に後悔したほどで、それほど、街道沿いの店……という雰囲気
でした。しかし、食べてみて、「うん?」と驚きました。一級のそ
ばです。特に、田舎蕎麦は、普通は固くてすすり込むことができな
いことが多い中で、ここの田舎蕎麦は、それほど固くない。田舎蕎
麦も、いわゆる蕎麦として食べられる。これはおすすめです。一度
寄ることをお勧めします。
九一蕎麦もいい。ああ、明日が楽しみだ。行かれるといいけれど…
●1998年4月12日(日)伊那の蕎麦粉で二八蕎麦
朝から気持ちのいい陽気。初夏……という開放的な気分になります
ね。こういう日には、なぜか、散歩に行きたくなります。
午前中は事務所に出て、残っていた仕事をすませ、さて、昼……と
言うことになって、駒ヶ根で買ってきた蕎麦粉を思い出し、一人分
を取り出して蕎麦を打つ。蕎麦は、食べたい………と思ったときに
すぐに作れて、すぐに食べられるのがいい。一人分約100g、小麦粉
は南部産のもの(これは横浜・高島屋で購入)を約25gで二八。どれも
概算。キッチン用秤がないので、計量カップで測る。100ccが約50g
という計算になるハズ……と思っているけれど、違うことも多いで
しょうねえ。いいかげんが、良い加減……な−んちゃって、適当な
んですよお。

打ってみると、4日の時と同じように、今日も入れる水は多めに必
要だった。こねるまえに、粉に水をまわす状態でわかるんですねえ。
両方の粉をふるいにかけて、混ぜ合わせ、そこに水を少しずつ加え
ていく。はじめに所定の量の水を用意しておいて、少しずつ入れな
がら粉を混ぜていく(これを水回しと言うそうです)のですが、全
部入れても、まだ、足りない。結局、20%程余分に入れましたか。
これでは、蕎麦粉が乾燥しすぎているか、粉の量が間違っているか
……どちらか。ん?計算違い? やっぱり、秤を購入しなとアカン
ようやねえ。安いのみっけて買おうっと。
蕎麦は固めでした。いわゆる全粉ですね。香りは申し分なし。嬉し
くなりますね。知っている人みんなに声を掛けて、食べにいらっし
ゃ〜い!と呼びかけたくなります。ノリをかけましたが、かえって
なにもない方が蕎麦の味が強くなっていいかもしれません。
蕎麦粉は特級品とは言いませんが、8日に挽かれた粉で12日に蕎麦
を作る……という新鮮さが、いいんでしょうねえ。「蕎麦」って香
りがしますもの。そのうちに、自分で挽いてみたくなるのも、分か
ります。
この味は、Mさんにも、おすそ分けしないといけませんね。近いう
ちにご招待、ご招待。午後は気持ちのいい散歩……と幸せな一日で
した、はい。ごちそうさま。
●1998年4月8日(水)小淵沢・「新次そば」で蕎麦の真髄を味わう


7日朝、前日からの雨が残っていたが、西から晴れてくる……との
予報を頼りに車で出発。Mさんのホンダ・ステップワゴンは、ゆっ
たりした座席で乗り心地はいい。
朝、4時頃まで徹夜で番組の編集をしていた……というので、途中
で休みながら行く。当方も同様に徹夜開けだ。慎重なMさんの運転
で休みながら行っても2時間で小淵沢のインターを出る。
目当ての「新次そば」さんには前日に予約を入れてある。小淵沢から
30分ほど。この距離感のアンバランスは何時も慣れない。高速で東
京から長距離を2時間で来るのに、小淵沢からほんの10数kmに30分
もかかる。Mさんは、「あれ、まだかなあ?」と、途中でいつも不
思議そうな顔をする。アンバランスさが、そう思わせるのだ。
新次ソバは、100%蕎麦粉で打った田舎風のそばで、蕎麦の原点と言
えるもの。一緒に出される野沢菜を肴にビールを一本もらい、蕎麦
を2枚づつ、計4枚を平らげる。まさに、至福の時だ。なんの飾り
もせずに、ただ、素直に蕎麦を打つ。しっかりと詰まった蕎麦は、
これぞ蕎麦!。僕にとっては、蕎麦打ちの最終目標がこれなのね。
前庭が田んぼになっていて、その先に南アルプスや中央アルプスの
山並みが見える。田植え後の光景は、牧歌的な日本の風景だ。そば
の付け合わせにこれほどの光景はあるまい。「うまい」と言いなが
ら食べるMさん。彼とは東京でも蕎麦を見つけては食べに行く仲な
ので、うまい蕎麦のときには、言葉は要らない。
午後、高遠を目指す。高遠は好天で、暖かく、桜開花の期待もあっ
たが、翌日(8日)の朝に覗いた高遠城跡のコヒガンザクラは、1%
の開花。つまり、まだ。しかし、蕾の段階ですでに何ともいえない
色気を感じさせるコヒガンザクラの開花期は、さぞ見事だろうと予
想させるものがある。高遠の宿・竹松旅館のおかみさん(写真)は、
非常に親切。到着が遅くて夕食は食べられなかったが、朝食には地
元で採れる山菜や手作りのおかずばかり。今度は、新緑、紅葉の時
期に再度行ってみたい。ここはぜひお勧めの宿だ。夜は、年寄りで
めっきり夜が早くなったMさんを宿に帰して、高遠のまちづくりに
力を注いでいるグループと、夜中まで飲む。
翌8日、帰りは鹿塩温泉で風呂に入り、駒ヶ根を経由して帰京。駒
ヶ根の町で偶然に粉屋さんを見つけ、挽たての蕎麦粉を買ってくる。
蕎麦打ちが楽しみだあ。
●1998年4月4日(木)「走波」の蕎麦チョコを買う

3月の彼岸に墓参りに行った際、ちょうど寺で骨董市がひらかれて
いた。そこで、買った蕎麦ちょこを使う機会がなかったので、今日、
昼に蕎麦を打ち、蕎麦ちょこを使う。味に変わりがあるわけではな
いが、何となく嬉しくなってくるような気分である。
蕎麦粉は、昨年秋に上田市の知人が農協で出されていたから……と
言って購入して送ってくれたもの。少し残っていた物を使う。蕎麦
粉は挽きたてが一番だが、これでも何とか使える。空気が乾燥して
いるようで、粉も乾燥していて、水を何時もより少し多目に入れる
が、それでも固めになってしまった。蕎麦粉だけでは匂わないが、
水を入れてこねはじめると、蕎麦粉の香りがぷーんと鼻腔をくすぐ
る。この香りは蕎麦打ちの第一の楽しみだ。
4、5ヵ月たった蕎麦粉だが、このくらいならまだ十分にいける。
100gの蕎麦粉に、25gの小麦粉……で二八蕎麦。大根おろしと薄塩
の紀州産梅干し、薬味にネギで食べる。濃い藍いろの蕎麦ちょこは
伊万里というが、真偽の程は不明。奇妙な銘が入っているが、読め
ない。機会があったら、伊万里へ行って聞いてみよう。
そう言えば、昨夏、長崎で買った蕎麦ちょこも、「走波」という銘が
入っていたけれど、これも不明とのこと。まあ、実用品なので誰も
気にしないのだろう。
●1998年4月1日(水)
蕎麦仲間のM先輩からメールが入り、「来週当たり、東北にでも桜
を見にいかないか」とのこと。桜を見に……といっても、これは、
「うまい蕎麦を食べがてら……」……と言う意味である。Mさんと
は、毎年、紅葉を見がてら蕎麦行脚をする。
今年は、仕事のキリがつくので花見がてら春にも行こう……という
誘いである。「7日、8日あたりはどうか」とのことで、ちょうど
時間がとれそうなので、その日に予定する。
まだ、この時期にはちょっと早い……と案内書には書かれているが、
一度も行ったことがないので、高遠にでも出かけようということに
なる。高遠に行く……というのも口実である。小淵沢の先、富士見
町に、絶品の蕎麦を食べさせてくれる所が有り、そこに行こうとい
うことから逆に、近くの高遠が候補になったというわけだ。
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