2003年5月分
多くの心優しき奇特な方々の犠牲のもとに成りたっている
「蕎麦打ち&蕎麦食べ歩き日記」であります。
1998年4月以来、ここに登場する全蕎麦屋さんの索引は、
こちら
です。
日記に掲載してあるお店が、県別にひけます。
店名の前に「*」印のあるものは、蕎麦好き読者からの投稿情報です
●2003年5月31日
箱根湯本ホテル「暁庵」
神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋184
TEL 0460-5-6763 定休:無休
営業時間:11:30−16:00(月−金)、11:00−16:00(土・日祝日)
●(上)店内、セットの豆腐と焼き味噌、セットの盆、(下)メニュとかけそば、せいろ蕎麦
隣のお店、彦(げん)から歩くこと30秒。隣には、豆腐懐石料理を食べさせてくれる暁亭があり、蕎麦はそちらでも食べられるようになっているようだ。1時間ほど置いて2軒の蕎麦を食べられるのだからシアワセといえばシアワセだが、違いが良く分かるだけにお店にとっては厳しい環境でもある。箱根湯本ホテルで申し込んだ、蕎麦と風呂のセット「とくとくセット」は1,800円/人。暁庵のせいろが800円だから、日帰り入浴の風呂と暁庵の豆腐と漬物がついたセット(写真)が1,000円ということになる。そば前を少しやりたいが、かといって1人前という大きなポーションの肴は不要……という私にとっては、願ったりのセットである。しかも、暁庵では、酒をオーダーすると、小さな肴がついてくる。1杯目の四季桜には直径5センチほどのしゃもじを使った小ぶりな「焼き味噌」が、2杯目の丹沢山には、「わさびの茎の漬物」がでてきた。もっとも、2つめの肴は、「焼き味噌でなく他のものにしましょうか?」とお店の人から尋かれて、では……とお願いしたものだ。こうした親切なサービスもうれしい。
今日の蕎麦旅は連れがいるが、普通だと一人でお店に入ることが多い。そば前を一杯やりたくなるが、困るのは肴である。ビールを取る。お通しが出てくるが、なにか肴を……と思ったときに、一人前のポーションが大きすぎて困るケースが多いのだ。たとえば、そばの前にあまり強く味を主張しない控えめな美味しいかまぼこは好物だが、一人前の量は、そば前の肴としては多い。半分でいいところなのである。こうした調理が不要な肴は、できれば、一人用に3点くらいを組み合わせられるなどというサービスがあるとうれしいのだが、こういう手間のかかるサービスはなかなかない。仕事の効率は良くないのは承知だから、ないのは分かるだけにやっていただけるとうれしいんですがね。かまぼこ、ニシンの一切れ、漬物、山菜、シラスおろし、干物……などから、自由に組み合わせて3つを選択できるなどというセットがあれば、これに越したことはない。ニシンだって、美味しいけれど、そば前の肴としては一人には大きすぎるのよね。一人客用にこんなセットを作ってくれないものか知らん。というよりも、一人で蕎麦屋さんに入り酒を飲む……という客が少ないのかな。
ここの蕎麦は、長坂時代の「翁」仕込みである。焼き味噌といい、あちこちに翁の名残が見える。メニュも、せいろととろろ、あられ蕎麦……程度で、温かい蕎麦も同様である。このシンプルさも翁譲りである。店員さんの白い帽子に調理服も、翁そっくりならば、若い店員さんだけで数人いる人数の多さも翁そっくりである。おそらく弟子を取っているのであろう、7,8人の若い店員さんがいる。客は私たち2人だけということを考えれば、それほどの数は必要ないのだろうが、修行中のお弟子さんということになれば別である。
ここでは蕎麦は朝のうちにまとめて打つとのこと。ホテルでの消費、隣の豆腐懐石「暁亭」で売れる分をここで打つという。ここではせいろと、かけ蕎麦をいただいたが、香りもあり、コシもあっていい蕎麦である。翁を思い出すようなそばだ。せいろもいいが、かけ蕎麦も蕎麦の香りがふんだんに生きて絶品である。ぜひ味わって欲しいと思う。種物のない、シンプルなかけ蕎麦は、ここの蕎麦と汁の特徴が良く味わえると思う。蕎麦打ちだけでなく豆腐づくりにも、近くの観音沢の湧水を使っているとかで、豆腐はたしかに大豆のふんわりした豊かな味わいが感じられる一品である。
ここの特徴は、蕎麦と並んでやはり蕎麦汁である。席について注文すると、セットの料理などが盛られたお盆が出されるが、そのなかに、たっぷりとそば汁が継がれた蕎麦チョコも入っている。量から言えば、80-100ccくらいはありそうだ。そば汁は、シンプルでありながらえもいわれぬ深みがあり、醤油の味が勝ちすぎかと思う反面、いつもと違う奥行きがあるのだ。翁の汁はワインビネガーが使われているということだが、その流れを汲むものだろう。口にしてみると辛めの汁なのだが、蕎麦をつけて食べてみると決して塩辛くない。鰹節の香りもするが、しいたけのような感じもある。最後に、蕎麦湯で割って飲んでも、汁の量がたくさんあるから辛くないかな……と思うが、これが意外と辛くないのだ。辛そうで辛くない、シンプルそうで複雑な……不思議な汁ですねえ。
次回は、ぜひとなりの、山県有朋公ゆかりの茶室だったという「暁亭」で、豆腐をいただきながら、最後の締めに蕎麦を味わうという贅沢をしてみたい。ここでもセットはあるのだろうか。
●2003年5月30日
箱根湯本「彦(げん)」
神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋183-1
TEL 0460-5-5214 FAX0460-5-3939 定休:
営業時間:11:00−15:00、17:00−21:00頃まで(月−金、土曜は昼のみ)
●揚げ蕎麦、メニュ2点、玄そばから碾いた「彦」
箱根湯本に出かけた。昼食を取っていかなかったので、遅めの昼食を……と探したが食指が動きそうなお店がなかなか見つからない。まあ普段食べないフランス料理がいいなあ、東京の喧騒を嫌って往年の名人シェフが湯本あたりにひっそりと開いた小さなお店などがあるのではないか……などと寝言を言いながら探していたが、あるわけがない。蕎麦屋のはつ花はあるが、ここはパス……と決め、結局は箱根「暁庵」に行くことにする。駅前の商店街で教えられた滝通りなる裏道を進む。川沿いにしばらく行くと、右に天成園なるホテルが見えるが、その裏に玉簾の滝と呼ばれる見栄えの良い滝があり、ここでやっと、滝通りの地名が理解できた。
ま、そんなことはどうでもいいのだが、天成園を過ぎてしばらく行くと左に箱根湯本ホテルがみえる。そうだ、「暁庵」は東京・広尾にある支店で、箱根湯本ホテルの経営と聞いていたっけ……とホテルを眺めると、「とくとくセット」なる宣伝の看板が出されている。箱根湯本ホテルでの風呂と暁庵での蕎麦+豆腐がついたセットで、暁庵では蕎麦だけでなく、豆腐も味わえる……というので、これを申し込むことにした。
で、とりあえずは、風呂を後にして最初に蕎麦を……とちょっと先の暁庵を目指してゆく。ホテルの経営といっても暁庵は、ホテルから60メートルほど離れている。フロントで申し込んで暁庵をめざすと、ホテルの人は、直ぐそこではなく、その先ですから……とわけのわからないことを言う。ホテルを出て歩き始めたら直ぐに分かった。暁庵の手前に、1軒の蕎麦屋さんがあるではないか。しかも手打ち蕎麦「彦(げん)」と書かれている。見ると、すっきりした、モダンなつくりである。なるほど、この店ではない……ということを言いたかったのか……とここで納得する。
しかし……である。思いもかけない手打ち蕎麦屋さん……と出会ってしまったからには、素通りできない。せいろを一杯だけ……というのがいつものセリフだが、やはり酒は頼んでしまうなあ。ま、ビール一本をお願いして、お通しの揚げ蕎麦をやっているうちに、蕎麦が出てくる。店名にちなんだ彦(げん)と、せいろそばをお願いする。彦とは、玄に引っ掛けたようだが、玄蕎麦から碾いた粉で打った蕎麦で、メッシュで言えば、60くらいか。細かい星が見えてなかなかいい感じである。コシ、香りともによくできたそばではあったが、粉を細かく碾いているために、粗碾き蕎麦の特有の食感はなく、香りももう一つのようだった。せいろもコシがあり、美味しいのだがもう一つなにか強いアピールが足りない。
自家製粉されているのですか?と聞いたら、厨房から長身でスマート、人柄のよさそうなご主人・野方治彦さんが顔を出されて、「自家製粉ではなく、製粉所さんにお願いして玄から碾いた粉を取り寄せている。玄蕎麦から碾いた粉で打っている蕎麦屋さんがほとんどないので、製粉助産にお願いして仕入れています」と、ていねいに教えてくださった。新しいお店で、面にはテラスもある明るい店内で、清潔感があっていいお店だ。今後の健闘をお祈りしたいが、暁庵の目と鼻の先……というロケーションは、ちょっと難しいなあというのが実感である。どう見ても暁庵が先に開店した。その後で、ここがこの立地を選んだということになる。あえてチャレンジするということなのか、事情が良く分からずに結果としてこうなったのかは不明だが、湯本出身というご主人が、このロケーションをうらんだ理由はいまひとつ不明だ。
もし、ここで「暁庵」と張り合うとすれば、いただいた彦では、差別化の要因としては不足しているような気がする。もっと思い切って、秋田の石碾屋さん風に、メッシュ20などという思い切った粗碾きにするくらいの差別化が必要な気がする。そうすれば、30-40メートルで2軒あるという美味しい手打ち蕎麦店の集積効果が出てくるのではないか?……などと、酒のおかげで余計なお世話を頭に浮かべながら、ここを切り上げて、暁庵に向かった。美味しいですよ。皆さん行ってみてください。湯本に行ったら、この2軒のはしごをおすすめします。順序はわたしと同じがよろしいようで……。
●2003年5月28日
平河町「すわ庵」
東京都千代田区平河町1-5-6 平河町SDビルB1
TEL 03-5210-2525 定休:日・祝祭日
営業時間:11:00−15:00、17:00−21:00頃まで(月−金、土曜は昼のみ)
●(上)メニュ、薬味と、3色もりのせいろそば、(下)いなか、紫蘇きり
仕事の途中でちょうど昼になった。場所は、永田町。午後の行き先は麹町なので、歩いても10分くらいなので、平河町を通ってぶらぶらと歩き出した。どこかで昼食をとることになるが、あいにくこのあたりにはあまりなじみがない。蕎麦屋さんの情報を持ってくれば良かった……と後悔したが、先に立たず。出かけるときには、念のためそのあたりの蕎麦屋さんの情報をもって出ることにしているが、最近はあちこちに蕎麦屋さんができて、そうした情報がさまざまな雑誌や資料に整理されずにあり、それを探すのが大変である。結局、あきらめて出ることになり、昼はラーメンか何かで済ませることになり、帰ってきて手元にあった資料で蕎麦屋さんの存在を知って、あそこにあったか……と残念な思いがすることも多い。
今回は幸運というか、歩いていたら、手打ち蕎麦……の看板が見えた。矢印の方向に歩いてみると、手打ち蕎麦……の看板があるではないか。ビルの地下一階。表から外階段で直接入れるお店である。店内のインテリアも新しそうだが、近くにあったお店が移転してきてまだ日がないようだ。メニュを拝見すると、種類は少ない。せいろ、田舎、変わり蕎麦(11-3月は柚子きり、夏は紫蘇きり)をベースに、辛味おろし、穴子天ぷら、車えび、鴨南蛮、とろろ……が組み合わされるという、どちらかといえばシンプルなメニュ構成である。最近こうしたシンプルなメニュ構成のお店が増えているようだ。蕎麦屋さんにつき物の天丼、カツ丼、玉丼などご飯ものはなく、蕎麦もせいろと変わり蕎麦、田舎蕎麦の組み合わせで、種物も少ない。いわば蕎麦を味わってもらおうという心意気か……。ただ、ここは、酒の肴にいろいろと揃えていて、メインは昼の蕎麦客よりも、夜の酒の客になるようだ。
いただいたのは3色もり。一つずつ小さめのせいろに入って、二八、田舎、ニシン、紫蘇きり……の順にサービスされる。せいろに盛られた蕎麦の量を見ていただければ分かるが、このボリュームは、価格パフォーマンスから言えば、かなりのサービスである。3色そばは、一つの器に盛られて出されることが多い。その場合、あまり大きな器ではないから、盛られる量も限られている。このお店の量は、そうした器の一つ盛りと比べると、大盛り、1.5倍くらいの量はあろう。うれしいサービスである。蕎麦が時間とともにどの程度伸び、香りがどのように変化するか……という細かいことはともかくとして、3色蕎麦のどれもが茹でたてでサービスされるのはうれしい。それと、薬味のケースを見ていただけば分かるが、大根おろしも、ネギもかなりの量である。これもうれしいなあ。
せいろは香りもよく、コシもある。田舎蕎麦といえば、碾きぐるみで黒い星が見えるものが多いが、ここの田舎蕎麦はいわゆる田舎蕎麦とはちょっと違う。微粉なのか、白と黒を混ぜたというのではなく、はじめからグレーになっている……というイメージを言えばいいだろうか。均一のグリーンで、不思議な蕎麦でした。田舎蕎麦にしては香りもちょっと弱いかもしれない。種物はメニュにあるように、穴子と車えびの天ぷらと鴨南蛮……がある。
酒も秋鹿など……用意されていて、肴も、ままかり、そば豆腐、そばみそ(以上各500円)、穴子天ぷら(600円)、車えび天ぷら(1,200円)、のほかに刺身、冬は鴨鍋コース……などもあり、蕎麦もいいけれど酒を飲みたくなるようなお店だった。
●2003年5月19日
山形・長井市「蔵高宿」(ぞうこうじゅく)
山形県長井市中伊佐沢1034 あら町十文字
TEL 0238-84-6124、FAX 0238-84-7231
営業時間:11月−5月まで、11:00−14:00頃まで(夜は予約)、定休:水曜
●6-10月休みのお知らせ、メニュなど、右端はもり・かいもちセット(1,100円)
蕎麦がきは「かいもち」
仕事で長井市にある会社に月イチくらいに出かける人がいて、帰ってくるたびに蕎麦がうまかった!、辛み大根が良かった……とパンフレットを持ち帰っては盛んに自慢する。あるときなど、辛み大根を土産にもらってきてくれたが、肝心の蕎麦がない! いつか行かねば……と思っていたが、ちょうど機会があって一緒に同行することにした。山形県の最上川沿いは、「あらきそば」で有名な村上の蕎麦街道を始め、蕎麦好きにはたまらないそば処、いわばメッカである。このところ特に減反で蕎麦栽培にも力を入れていると聞けば、行かずば成るまい。「ながいそば屋マップ」なる1枚の宣伝用パンフによると、市内に本格手打ちのお店、10軒が紹介されている。讃岐うどんの巡礼ならば、ムリして1日に10軒を……と勇むところだが、とんでもない。ここの蕎麦はボリュームが半端じゃないのだ。しかも、永年の練達の打ち手が腕とコシによりをかけてしっかり打った田舎風蕎麦である。
で、連れて行っていただいたのが、「蔵高宿」ぞうこうじゅくと読む。蔵高はこの地名で、そこの宿という意味とか。民家で営業するソバ屋さんである。通りには手打ち蕎麦の幟がたっているが、店は通りを曲がってまた曲がる。表からは全く見えないので、こんなところに蕎麦屋がある?と気付かずに行き過ぎてしまう人も多いだろう。入り口を入ると紙が一枚張ってあって、:オープン11月18日(月)……」と書かれている。昨年の11月に開店したのだが、その横にはもう一枚張られていて、「営業は5月末まで、また11月に開店します」とある。つまりは、11月〜5月までの農閑期しか開いていないというわけである。
メニュはと見ると、もりそば(600円)、おかわり(500円)、2枚もり(1,000円)、かいもち(600円)、もり・かいもちセット(1,100円)とある。これだけといっても、「もり」と「おかわり」は同じものだから、つまりは「モリ蕎麦」と「かいもち」の2種類しかないということになる。なんともシンプルですばらしい。「かいもち」とは何ぞや……と気になったが、良く考えたら「もちのようにかいたそば」=そばがきであると気が付いた。
いただいたのは、もり・かいもちセット。モリそばとそばがきのセットである。もりそばは玄そばから碾いたと思しき黒っぽい田舎蕎麦。3ミリくらいの切り幅で噛み締めるような蕎麦である。最近、江戸前の蕎麦の香りがないものを食べさせられることが多く、しっかり打たれた香りが満載の蕎麦に飢えていることもあるが、この蕎麦は口に入れると、プーンと蕎麦の香りが広がる。噛み締めるとさらに蕎麦の香りが蕎麦からにじみ出てくる。うーん、嬉しいぞ。この香りの強さは久しぶりだ。どこの蕎麦粉だ……と思ったら、なんと「でわかおり」という山形県で開発したそば粉だと書かれている。この蕎麦粉、なかなかのものである。一度打ってみたいなあ。
蕎麦汁は、鰹節よりもどちらかというと椎茸が利いているのか、辛めの汁でこれも私好みである。地方に行くと甘めの汁が出されるケースが多く閉口するが、ここはしっかりと濃い目の汁である。塩分濃度よりもだしがきいた汁で、蕎麦をかなり食べてから思い立って味わったので、性格には識別できなかったが、しっかりとしただしであった。蕎麦が目の前に出されると、どうしても食べてしまう。こらえ性のないタチである。我ながら呆れる。
圧巻は、かいもち=そばがきである。予想に反して、柔らかいそばがきだった。1:4くらいの加水でかいたものか。つけだれが、おろし、しろあぶら(ごま)、納豆の3種類。湯に入れられたそばがきを箸でちぎって好みのたれに付けいただくものだが、やわらかなそばがきとシンプルなつけダレがマッチして、これは抜群。東京でも味わえない洗練されたそばがきであった。これは今度やってみよう。しかも香りが充満している。これだけボリューム満点のセットで1,100円とはうれしい。東京でこれをいただいたら、1,500円〜1,800円くらいとられそうだ。それでも、こんなに香りが充満した蕎麦をいただくことは難しいかもしれない。付け合せの豆腐も濃厚な大豆の味がして美味しかった。感激のそば。侮れない最上川沿いの長井のソバ屋さんでした。
このお店、お店というには様子が違うのだが、紛れもなく一級の蕎麦である。ご主人・金子宣興さんは伊佐沢共同直売所の運営委員長をされているそうで、帰りに、「でわかおり」蕎麦粉を譲っていただけばよかったと後悔している。残念だ。こんなに香りの強いそば粉ならば、一度打ってみたい。自家栽培、自家製粉というが、どこかで打っているのかしら? ご存知の方、入手法をお教えください。
c
-------------------------------------------------------------------------------
●そばの新品種「でわかおり」について以下のような記事がありました。華北新報さんから再掲させていただきました。
山形期待のソバ新種「でわかおり」 店頭に登場
2002年12月24日火曜日
山形県推奨品種のソバ「でわかおり」が、今秋から山形市内のそば店に本格的にお目見えした。1999年の生産登録から3年。原種の供給量が圧倒的に不足しており、大量生産は困難だったが、山形市の助成制度を活用して農協と生産者が独自に種を増産、ようやく「そば店デビュー」にこぎ着けた。試食会での評判は上々で、さらに供給を増やそうと関係者は意欲をみせている。
「でわかおり」は、平地の転作田向けに県農業試験場が開発した品種。開発直後の試食会では、そば店主らに「香りとのどごしが良い」と好評だったが、県から生産者に供給される原種は毎年100キロほどと少なく、これが新品種定着への障害となっていた。
山形農協はこうした原種不足を受け、昨年になり、ようやく入手できた15トンの種を元手に原種の増殖に挑戦した。転作田80ヘクタールのうち25ヘクタールにしか作付けできなかったが、収穫した約6トンは、そば店や製粉業者に卸さず、すべて原種として確保した。
今年は100ヘクタールの転作田すべてに種が行き渡った。長雨が刈り取り期に重なり、収量が減少した畑もあったが、10倍以上に当たる約70トンを収穫。来年の原種となる7トン以外はすべて市内に出荷された。
山形市は昨年度から、ソバ、大豆などの転作作物への助成事業を独自に実施。満額の場合、10アール当たりで国の助成とは別に5万円の補助を得られることも、通常では実入りの少ないソバ栽培の追い風となった。
品種の定着と消費宣伝を兼ねて先日行われた試食会では、約300人が試食した。会場からは「つるつるとしていておいしい。香りも良い」の声が聞かれた。
初めて提供されるそば粉に市内のそば店も喜びの声を上げている。「そば処庄司屋」の庄司武彦社長は「でわかおりはでんぷん質が強くのどごしが良い。地元産の粉を使っていると胸を張って言えるところも魅力」と歓迎している。
とはいえ、現在の収穫量では、まだ期間限定でしか提供できないのが現状だ。山形農協の森谷浩二営農指導課係長は「70トンではまだまだ足りない。生産効率を高めてさらなる増産を目指したい」と話している。
------------------------------------------------------------------------------
●2003年5月19日
長井市「菅隠岐守かく長」
山形県長井市大町4-18 tel0238-88-2377
営業時間:11:00−19:30(平日)、11:30−売り切れ仕舞い(土日祝日)
●ニシン蕎麦、せいろとカケ軸
蔵高宿で早めの蕎麦を食べ、帰る前午後3時半頃にもう一見に連れて行っていただく。それが市内にあるこのお店である。看板には手打ち田舎そばと書かれている。蔵高宿がいわば玄蕎麦からの碾きぐるみとすれば、こちらは丸抜きからの碾きぐるみである。太目の田舎そばだが、香りも良くて、噛み締めるように食べると、蕎麦の香りが染み出してくる。こちらのそば粉は、渡辺製粉所産から購入品で、北海道の粉を使用しているとのこと。ニシンが柔らかく煮られていて、あじもいい。これだけで酒が飲めそうである。山形の山の中でなぜニシンが?と疑問に思うが、北海道と京・大阪を結ぶ北回り船の寄港地に酒田があり、酒田から最上川を上れば長井に着く。距離は遠くても、そういう歴史でつながっているのだ。
このお店は、名前から由緒がありそうだが、創業は大正時代からで、手打ち一筋80余年、蕎麦汁はその頃から使いつづけているとのこと。長井市は水が豊富で、掘ればすぐに水が染み出してくる……ということで、その地下水を使って蕎麦を打つ。
●2003年5月5日
蕎麦打ち教室
●蕎麦を打ちたい……とやってきた人に蕎麦を打っていただく
知り合いが蕎麦を打ってみたい……というので、連休の一日、きてもらってそば打ち体験をしてもらった。打ってもらったのは、古川製粉所さんの「特上」。これを二八で打ってもらったのだが、打ちやすいそば粉で、何の問題もなく、始めてといいながら、切りが少し太かったくらいで、立派な蕎麦になった。一人はネパールからきた人手、ネパールでも蕎麦は食べる……とのことで、彼もメズラシそうにそば打ち体験をしていた。私のところで始めてそば打ちを体験する人たちは、たいていうまく打てるのでびっくりする。基本に忠実にやればなんの問題もなく蕎麦が打てる……ということはこれでもわかる。始めての人に教えながら……だと動しても1時間くらいかかる。残念ながら時間がなくて、ゆでて食べるところまで行かなかったので、持ち帰ってもらった。うまく食べられたろうか?
●2003年5月4日
「石碾屋」の玄からの34メッシュ粗碾き蕎麦
●(上段)玄蕎麦から碾いたという34メッシュの粗碾き粉。
(下段)ドゥと延した麺体。玄であることが良く分かる。田舎風に太めに作る
3月に石碾屋の江幡さんに送っていただいて打たせていただいた抜きからのメッシュ20の粗碾き粉に続いて、今度は玄蕎麦から碾いたメッシュ34の粗碾き粉を送っていただいた。「連休の暇つぶしにどうぞ……」とのことで、連休中は当方がひまを持て余す……ということを先刻ご承知である。前回の粉に比較すると、ずっと細かい。手にもなじんでなかなか打ちやすそうな粉だ。「加水は50%を切るくらい。普通の生粉打ちのように打てます」と江幡さんは書いてくださったが、届いた粉を4、5日冷蔵庫に入れておいて4日に打ったためか、加水量はちょうど50%、もう少し入れてもいいかな……という微妙なところだった。「多加水に成る寸前の加水」という江幡式の粗碾き蕎麦定法からいえば、こんなところかもしれない。粗碾き粉の100%は、水回しの後、捏ねれば捏ねるほど水をほしがるから不思議である。この粉も、少し捏ねてくくったが、捏ねると固くなりそうな気配があった。
さて、水回しをして気になったのは、最初は普通の粉と変わらないのだが、加水していくうちに、だんだんと手に粗い部分が当るようになる。玄特有の粗碾き粉で殻があたるのであろうか。水回し、くくりをしていると次第に粉が重くなってくるが、そうなるとゴツゴツと手に当るようになり、それまで隠し持っていた荒々しさが次第に顔をだし始めるかのようである。
伸し、切りは特に違いは感じなかったが、玄からの蕎麦ということで、今回は多少太めに伸し、切ってみた。江戸流切りべらの細めの蕎麦も好きだが、アラキ蕎麦、板蕎麦に代表されるような、太目の田舎蕎麦も好きなのだ。そばは香り……というのが私の思いなので、やはり乖離があれば嬉しい。東京にいると、田舎そばといっても根性なしが多くて、玄から碾いて、太めでしっかり詰まったそばというのがなかなか味わえない。そこで根性を据えて、思い切って厚めに伸し、太めに切ってみたが、私にとってはこれは正解。噛み締めながら、がっしがっしと味わう蕎麦……というなんともいえない豪快さが楽しみめたのだ。蕎麦はかまずにツツーっと一気に……という江戸流 の蕎麦食い作法と違って、しっかりと蕎麦の香りを口内で味わいながら、噛み締める蕎麦……。久しぶりで、また典型的な蕎麦らしい蕎麦を味わった思いであった。
今回は、古川さんの「特上」もあったので、全部を田舎蕎麦風に打ってしまったが、あとで、あ、、少し並蕎麦を打てばよかったと後悔した。考えてみればこの粉を2つに分けて、田舎と並せいろを打ってみればよかったのだが、そば粉を前にあせってしまったというのが実8条。反省してます。
この蕎麦を細めに切るとどうなるのでしょうかねえ。やはり、しっかり固めの蕎麦が出来るのでしょうか? それもやってみたい……と思うことしきりであります。江幡さんありがとうございました。
●2003年5月4日
芥子きり蕎麦
●芥子きりそば
幸運というのはひょんな事から舞い込むもので、私の場合は、幸運を呼び込もうと思って幸運が来ためしがない。たいていは、知らん振りをしているときに、ひょこっと幸運に見舞われたりする。ま、幸運といってもたいしたことではなく、まちがてもジャンボ宝くじの1等が当るなどということはない。ま、宝くじならばせいぜい3000円というところだ。……そんなものは幸運とは言わない!という声もありそうだが、その程度をもって幸運と喜ばないと、幸運というものに見放された……という惨めな人生に涙が出かねないので、ここはご勘弁いただこう。宝くじの一等には及ばないが、それに継ぐくらいの幸運が舞い込むこともあるのだ。それもひょんな事から……。
肝心の蕎麦の写真が、アップにしたかったのであまり近くで取りすぎてしまい、ボケになってしまった。ごめんなさい。入れ込みすぎでした。
Copyright(C) 1998-2001, Fumihiko KAJI. Japan