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蕎麦打ち日記ボタン 2001年11月分

多くの心優しき奇特な方々の犠牲のもとに成りたっている
「蕎麦打ち&蕎麦食べ歩き日記」であります。


1998年4月以来、ここに登場する全蕎麦屋さんの索引は、こちらです。
日記に掲載してあるお店が、県別にひけます。



●2001年11月26日

3色蕎麦を打つ

せいろ、芥子きり、柚子きり




●せいろ、芥子きり、柚子きりの3色もり

仕事をしている人たちに、そばの話をすると、食べたい、といわれることが多くなった。特に、今月は、あちこちで新そば粉を収穫……と書かれているために、気になるらしく、ご要望なら……と、何度か蕎麦を打って食べていただいた。この日は、柚子きりが食べたい……とご所望なので、ついでに芥子きりも作って食べてもらうことにした。粉は、一茶庵のせいろ粉と白雪(さらしな粉)である。町の蕎麦屋さんでも柚子きりは冬至の日に作ることがあるが、芥子きりは、一茶庵の片倉友蕎子が始めた専売のようなもので、よほどの蕎麦好きでなければ食べたことがないと思う。柚子きりを作るならば、半分を芥子きりに分けて使うことが可能なので、せいろと一緒に3色蕎麦を作ったわけである。
   変わりそばにはいろいろな作り方があるようだが、私は、さらしな粉を湯捏ねしたあと、さまし、約3割の割り粉を加えて、押し伸ばしながら捏ねる。この作業は力仕事である。こうして充分に練ったところで、柚子の皮をすり下ろして混ぜ、均等に交わるように捏ねれば、柚子蕎麦の玉の出来上がりである。柚子は水分を持っているので、さらしな粉に加水するときに、水を加えすぎると、柚子を加えたときにゆるくなりすぎるので注意が必要だ。
   芥子きりは、柚子と同じように充分に練りこんださらしな粉に加えるが、あまり早めに加えるとその後も捏ねが必要になり、強く練ると芥子の実がつぶれたりして汚くなってしまうので、粉が終わって、菊練り……という状態になってから加えたほうがいい。柚子を入れれば水分が加わるが、芥子はほとんど水分はない。最初の段階で、どこまで加水するかは、なかなか難しい。けし、柚子……を一緒に作るのは適切な加水量という点で難しいのである。最初の湯ごねの段階では、水を気持ち少なめにして少し固めに捏ね、2つに分けて先にけしきりにするほうはさらに捏ねて、最後のまとめの段階でけしを入れる。これをビニールにくるんでおいて、もう一つを取り出し、こちらに柚子をすりおろしてさらに捏ね上げ、充分に捏ねたところでまとめる。
   この後は、伸しと切りを、せいろ→柚子→ケシきり……という順に行い、完成である。けしを先にやると、打ち粉に麺体からこぼれたケシが混ざりってしまうので、せいろや柚子……という順で行なうが、コネからはそれぞれのやり方があろう。上記はあくまでも、素人、なれない蕎麦打ちの手順である。
   さて、今回の出来上がりであるが、これがせいろはなかなかいい仕上がりで、香りも腰もあり十分な蕎麦になったが、芥子きり、柚子きりが少し麺がゆるく、しゃきっとしたものにならない。前回両方を作ったときは、同様の手順、加水量であったが、角のあるしゃきっとした更科蕎麦らしい仕上がりになり、喜んでいたが、今回はどうにもしまらない。何が問題か? 一番の可能性は湯で時間である。芥子切りも、柚子切りも細めの0.8ミリほどに切っているから、湯で時間は短くていいはずだ。3色もりにすると、どうしてもせいろに時間がかかるから、つられて変わりそばにも時間をかけてしまうということかもしれない。次への宿題である。あるいは、もう少し、加水量を減らしてもいいかもしれない。これも宿題である。次が楽しみだ。
 


●2001年11月21日

石臼を取りに行く

石臼




●右上が全体、左から、臼の上面、上臼の下面、下臼の上面。

soba-mlの戸隠offに参加して以来、どうも流行性の病気に感染してしまったらしくて、気になって仕方がない。感染した病気は、”蕎麦粉の自家挽き病”である。mlに参加している人たちは、いずれも深くこの病気に感染していて、ご多分に漏れずその知識と実践ぶりは、既に素人の域を越え、素人がゆえに玄人には許されないのめり込みぶりを見せている、まったく怪しい面々なのだ。
蕎麦は香り……と称している手前、自家挽きの香りが一番……といわれてしまうと、どうにも気になって仕方がない。ついに、友人たちに、不要な石臼が余っていたら、いただきに上がります……とメールをあちこちに送りつけたら、”奥鬼怒の山小屋で余っていましたので、栃木まで下ろしておきました”……と山の友人から連絡をもらい、早速引き取りに出かけた。
奥鬼怒の山小屋というのは、奥鬼怒温泉郷にある手白沢温泉である。学生時代の2、3年間、そして勤めた会社を辞めてから1年ほど、山仕事を手伝いながらもぐりこんでいたことがある。この夏に、その手白沢温泉にゆかりのあるOBが集まってOB会なるものを結成したばかりで、その仲間の一人が手白に出かけた折に、石臼が余っていることを発見して、わざわざ栃木まで下ろしてくれたというわけである。
直径は27.5センチ。まあ、尺サイズの石臼である。長い間、放りっぱなしにされていたので弱冠、目がこぼれて欠けていたり、心棒が錆びたりしているが、基本的には何の問題もない。さっそくきれいに洗浄したのが上の写真である。
何はともかく、心棒とワッシャーの錆びを少し手入れして、目は手を触れずこの状態で一度、蕎麦粉を挽いてみようと思う。どうするか、判断するのはそれからである。まあ、「2、3度挽いたら、疲れてしまって蕎麦を打つ気力がなくなるよ!」というのが経験者の意見だが、オブジェとして置いておくのも悪くないかもしれない……と、いまから逃げ腰である。
やりだすとのめり込みそうな予感があって、避けていたのですが、ついに、病に感染しそうであります。これが不治の病なのか、それとも一過性のものか、第1回目の臼の使い具合と成果にかかっているような気がします。どうなるか、まあ、運命に任せましょう……と素直なワタシ。のめり込みたい、のめり込みたくない……揺れる子羊の心。


●2001年11月21日

大越路(栃木・粟野)のそば

ドライブイン大越路
栃木県下都賀郡粟野町下永野1541 火曜日休み
0289-84-0951 11:00〜20:00頃まで?




●上の写真は、7合のせいろ蕎麦とメニュ

かねてから石臼を引き取りに行くことになっていたが、やっと時間を作って、高速を飛ばし、栃木まで引き取りに出かけた。その折、栃木の友人がうまい蕎麦屋があるので紹介する……といわれて連れて行ってもらったのが、この大越路である。東北自動車道を栃木ICで下りて、32号栃木粕尾線を粟野町方向に約15km、30分弱。途中を左に曲がると最近売り出し中の出流山の方に行くが、そのまま進んで下永野を右に折れて大越路峠にあるのがこの大越路。ドライブインであるが、「手打蕎麦大越路」と暖簾がかかっており、母屋の隣には蕎麦粉を挽くための小屋がある。本格的である。
途中、道はトラックが石灰岩や石灰を運ぶ道になっていてほこりが舞う中を行くが、インターからしばらく行くと、両側は手打蕎麦の看板がかかった店が並んでいて、さながら蕎麦街道である。案内役の小林少年と太平君によると、この粟野は山に囲まれた土地で、陽が充分に当らないために山の稜線に畑が作られていて、そこで蕎麦が栽培されているという。昼は日照があり夜が冷えて日較差が大きく蕎麦栽培には絶好の地である。
蕎麦は、地元産の地粉を石臼で毎朝、その日の分を挽くという。粉挽き小屋には電動臼が置かれていたから、これを使っているのだろう。メニュを見ていただきたいが、モリ蕎麦が何と440円である。1人前、2人前という注文だが、まとめて5合、1升という注文もできる。4人で行ったので、7合を注文する。付け合せにきたわさび付けでビールを飲みながら待っているとまもなく出来上がってきた。注文を受けて打つ……と説明されているが、この速さは、既に打たれていたものを7合分茹でて持ってきたのだろう。まあ、20分弱だから、打てない時間ではないが……。さて、蕎麦は、とても440円とは思えない。しっかり打たれた蕎麦で、香りがもう少し欲しい……というのは小林少年の意見であるが、納得である。しかし、蕎麦打ちそのものは悪くない。価格パフォーマンスとしては文句のつけようがない。どちらかといえば、弱冠加水を多くして打ったような蕎麦であったが、コシはそこそこ出ていた。蕎麦としては悪くない。
「ここにくるまでに道に並んでいる蕎麦屋では一番いい」という話だ。Webで探したら見つかるよ……といわれたので探したら、http://www.kanuma-net.or.jp/awano21c/mise.htm のページが見つかった。十数軒のそば屋さんが紹介されている。そばロードとかかれていた。この街道の蕎麦屋群は、随分前からという。さいきん流行りのそばでの町おこしとは歴史が違う。どうも、ここの蕎麦は、お店ごとにタイプも違うようだ。蕎麦は好きずきで、固いもの、香りがあるもの……と好みはいろいろあるようだから、ここを探すと自分の好みが見つかるかもしれない。


●2001年11月19日

なな番(静岡・修善寺)のそば

静岡県田方郡修善寺町修善寺761-1-3
0558-72-0007




●黒米ビールとせいろ

11月18−19日と伊豆今井浜に遊びに出かけた。ゆっくりと風呂に入って休んだ翌日、ブラブラと散歩がてら、バスで修善寺へと出た。時刻は昼……となれば蕎麦屋を探すというのが習性であるが、修善寺ではうまい蕎麦というのがあまり思いつかない。数年前にきて、蕎麦→を探し、地元に人のアドバイスで、この店……と進められて食べた記憶があったが、あまりきちんと覚えていないところを見ると、その程度であったに違いない。一緒に行った友人は、「蕎麦のうまさが分からない」という。そういわれれば、どうしてもうまい蕎麦を食べさせたくなる。そこで、地元の人やタクシーの運転手さんに相談しながら行ったのがこのお店である。
    座ると注文を聞きに来るが、ここでは、「お勧めは……」と豪華膳を勧める。「蕎麦屋でこういう事をやる店は期待しないほうがいいよ。蕎麦に自信のある店は蕎麦を勧めるハズ」……というような講釈を仲間にたれて待っていたら来たのが、上の写真のせいろ。香りがあまりなく、コシももう一つ。手打蕎麦の特徴はほとんど残っていない。ここでは有名な店のようで観光客は一杯だったが、これでは蕎麦のうまさを知っていただくことはできない。残念である。


●2001年11月19日

どっこそば大戸(静岡・修善寺)のそば

静岡県田方郡修善寺町修善寺765-6
0558-720247




●どっこそば(セット)のせいろ

口直しにもう一軒とはしごしたが、そのお店がすぐ横にあるどっこそば「大戸」。ここの手打と書かれているので期待したのだが、メニュは冷たいのと暖かいのと2種類しかありませんといわれる。せいろとカケと思ったが、そうではなくどっこそば(冷)と暖かいそば(忘れた?)の2種類である。どっこそばなるセットには、煮物やワサビなど、全部ついていますからいいですよ……といわれたが、この一声で当方はがっかりである。前の店で能書きをたれたとおりで、こういうセットしか置いていないお店は、せいろだけでは売れないに違いない。こういうお店に限って、「美味しい蕎麦」を連発するが、本当にお店の方々はそう信じていらっしゃるのだろうか?
    どうも、友人がいう、本当に「美味しい蕎麦」を食べたことがない……というのは、一般的なことなのだろう。できるだけ多くの人に美味しい蕎麦を食べて、蕎麦の味を知って欲しいと思うばかりである。

●蕎麦を食べて帰ろうとすると、すぐ前に「蕎麦道場二八」というのがある。店内に蕎麦打ち台が並んでいて、蕎麦を打たせてくれるようだが、店で食べさせてもらうこともできるようだ。ここで食べさせてもらうという手もあった。残念。せいろ2杯いただいた後ではちょっと入らなかった。
     そば道場二八:修善寺町修善寺875-2 tel0558-72-5350
●また、修善寺には「朴念仁」という手打蕎麦屋さんがあると聞いた。なかなかのものとあちこちで言われる。次回はぜひこの2店で試してみたい。
     朴念仁:修善寺町修善寺3451-40 tel0558-72-0073
  


●2001年11月06日

朝挽きそば圓居(千葉・船橋)の『常陸秋蕎麦まつり』

朝挽きそば圓居
千葉県船橋市本町7-5-2 月曜日休み
047-422-888 11:30-14:30、17:30-21:15
                                              店主の新田文一さんご夫婦



●上の写真は、下は常陸秋蕎麦の生粉蕎麦、名物鶏モツ煮込み

    
船橋駅前にある朝挽き蕎麦「圓居」新田さんから、常陸秋蕎麦の新蕎麦を食べていただく常陸秋蕎麦祭りをやりますので、ぜひきて下さい……とのご案内をいただいたので、出かけた。
 今年の常陸秋蕎麦は、なかなかの出来と聞いていたので、楽しみにして行った。新田さんによると、蕎麦の実は乾燥させてから挽くが、水分をどのくらいまで乾燥そうさせるかはなかなか難しいようだ。茨城・鉾田の村屋東亭の渡辺さんの説によると、これまで含水量は常陸あき蕎麦は15%くらいだったが、16%が一番いい……ということだそうだが、今年の常陸秋蕎麦を量ってみると15.8%程度とか。
 それだけに、では加水量は少なくてもいいか……と思っていたところ、実際に打ってみたら水が入る。40%くらいか……と始めたら43%をこえて、44-45%くらい入ったという。色は昨年と比べて、ちょっと薄いか……と新田さんはおっしゃっていたが、昨年同じ時期にいただいたときの写真があったので再掲してみる。右の写真がそれだが、いかがでしょうか?
  蕎麦は、生粉打ちらしくしっかりつまっていてなかなかいい。食べていても、確かにもう少し加水してもいいのではないかと思われるような固さもある。まだ若いせいか、香りが匂い立つ……というほどに熟してはいない。若い蕎麦という感じである。しかし、歯ごたえというか、食感に若いバネのような強靭さがあって、常陸秋蕎麦の持つ力を改めて感じた。

     ●昨年の常陸秋蕎麦
    
今回の常陸秋蕎麦の新蕎麦100%の蕎麦は、1,200円だが、この蕎麦は量が150−180gほどありそうな量である。普通蕎麦一杯では腹の足しにならないとか言うが、ここの蕎麦は量があり、酒の後では1杯のせいろで充分である。この新そば祭りは11月11日までだそうだ。


●2001年11月04日

『芥子切りを打つ』


粉は一茶庵のさらしな粉”白雪”



●さらしな粉、芥子を入れてまとめたところ、切りの前

一茶庵の教室に行っている際に、変わりそばを打った。そのときに、ケシ切りを打ちたいなあ……、ケシはどこで売っていますか?などと聞いていたら、「ケシの見は良く炒る」「ケシの実を麺体に入れるのはまとめる寸前にしないと、実がつぶれて汚くなる……」など、2、3ケシ切りの打ち方をアドバイスしていただいた。
 そして、小匙に2杯ほどを取り出し、少し分けてあげましょう……と、既に炒られているケシの実をラップに包んで分けてくださった。小匙2杯ほどで500gくらいを打つのにちょうどいいという。そこで、一茶庵の販売所でさらしな粉(白雪)を購入し、いつか打とうと機会を待っていた。ちょうど日曜日に時間が出来たので、ケシの実を取り出して打ってみた。
 いただいたケシの実を全部使ってしまうのは惜しいので、半分ほどを残して次回に改めて打つことにして、今回は250gを打つことにした。さらしな粉175g、つなぎ粉75g、これにケシの実を半分入れた。さらしな粉は加水率が50%程度とのことで、熱湯で湯捏ねするので、蒸発分を10%ほど多めにいれ、約60%を加水したが、結局、捏ねている間に固すぎることがわかり、10gほどの水を追加して加えることになった。かなりの加水量である。それほど乾燥していたわけではないが、さらしな粉が乾燥していたということかもしれない。

 ●芥子の実の粒が見える
かなり水を加えた積りだったが、それでも麺体は固めで、ちょっとした力仕事であった。粉が250gと少なめで良かった。これがもっと多かったら、一苦労であった。汗をかきながら充分に捏ねたあと、まとめの段階になってケシの実を入れ、まとめたのが上の中央の写真。白い麺体の中にケシの粒がきれいに見える。
 これを薄く伸して、切る寸前のものが上の右端の写真で、切り上げてタッパーに入れたのが下の左、出来上がったのが、中央と右の写真である。茹でていただくと芥子の香ばしい香りが口の中に広がり、これは至福の味である。かなり香りが強いので、毎日というわけには行かないが、たまにこれを作ると、香ばしさがより強く感じられて、蕎麦の味にもバリエーションが楽しめる。
 芥子きりは一茶庵の専売のようであったが、最近、いろいろな人も打つようで、それほど珍しくなくなった。それでもまだ味わったことがない方もいらっしゃるのではないだろうか。一度、一茶庵系のお店で、この一味違った、香ばしい蕎麦を味わってみてはいかがでしょうか? 蕎麦の味わいがまた広がると思います。


●さらしな粉(一茶庵白雪)の芥子切り蕎麦

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