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●(上段)焼き味噌、酒のチョコ、セイロ蕎麦、(下段)カケ蕎麦、田舎蕎麦、蕎麦チョコ 友人と会うことになり、雑誌「Hanako」で紹介されている赤坂・黒澤に 行って見ようということになった。場所は、雑誌によれば永田町2-19-9 ということだ。雑誌に地図が出ているが、この手の地図は分かるようで 分かりにくい。何度もだまされているので、別にきちんとした地図で確認 すると、どうやら場所は麹町小学校の周辺である。……ということで、永 田町で下車して小学校の周囲を探したが見つからない。これは「Hanako」 の間違いで、所在地は2-7-9が正解。今回ばかりは雑誌の地図を信頼 すべきだったと後悔あとにたたず。 さて、黒澤は、黒沢明の映画を作った美術スタッフの内装による店で、 黒沢明関連のグッズが展示されている……とHanakoには紹介されて いたが、実はこのお店、経営者が息子のくろぱんこと黒澤久雄なので ある。店内は、映画に出てきそうな太い梁のつくりで、黒沢明の絵コン テなどが展示されている。黒澤の世界……というほどではないが、しか しファンには嬉しい店であろう。 予約も受け付けているので、予約なしで出かけた我々は、早い時間に もかかわらず、入り口近くの風通しの良い場所に案内された。テーブル 席がかなりあり、ほかに座敷があるのだから、せめてテーブル席くらい は開放してもいいのではないか。場所が、東急キャピタルホテルの裏 の前だけに、背広姿の紳士が多く、簡便な接待などに使われる店なの だろう。残念である。「たかが蕎麦屋」というわけではないが、蕎麦がふ らっと思い立ってはいる店でなくなるのは残念である。 ……で、肝心の蕎麦であるが、せいろ蕎麦とカケ蕎麦を頂いた。肴には 焼き味噌。これは柚子が入れられていて、柚子香が口中にひろがる。そ ばは文句なしに合格点である。「翁」で修行した職人とかで、なるほどと 分かるそばである。細めで、コシがあり、なによりも蕎麦の香りが横溢し ている。そばは最後に、冷たい水でよく締められて出されてきたものであ ることが分かるが、それでも香りは充溢という感じで、プンプン蕎麦香が迫 ってくる。翁と同じそば粉を使用しているのかもしれないが、腕もさること ながら蕎麦粉のよさも隠せない。これまで、よく冷えた冷たい蕎麦を頂い て香りがなかった場合、冷やしすぎて香りが弱い、ここまで冷やさなくて も良いのではないか……と書いてきたが、良いそば粉であれば、十分 に冷やしても香りはなくならない……ということが、この蕎麦を頂いてわ かった。ようはそば粉と腕の問題なのだ。 |
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11月に収穫した新蕎麦が一番うまく感じられるのは1月だといわれるが、 その意味では、良い蕎麦粉の一番の旬のものを味わったということかもし れない。ただ、ここの蕎麦で、一つ気になったのが、汁である。長坂の「翁」 の辛つゆがどんなものであったのか、明確には思い出せないが、かなり濃 厚な汁であったような記憶がある。あまり覚えていないということから考え れば、逆にそれほど特徴のある蕎麦汁ではなかったと想像できるが、黒 澤の汁は独特だ。だしをフルに出した濃厚さの極にシンプルさがあるとす れば、まさに、ここの汁はシンプルな汁といえよう。鰹と鯖くらいでさーっと 出した汁に、生醤油を加えた……と表現しても良いような気がするくらいの、 シンプルさである。 一緒に行った相棒は「蕎麦はいいけれど、この汁は気に入らない」と言った が、確かにセイロを味わうには、もう少し濃厚さが、つまり厚みが欲しいとい う印象であった。特に、田舎蕎麦を食べた相棒にはそう感じられたはずであ る。しかし、その印象も、、カケ蕎麦をいただいてガラっと変わった。カケ蕎麦 は、さらに蕎麦の香りが強く、蕎麦の味を目一杯楽しめるが、この蕎麦香を そのまま活かして味わう……つまり蕎麦の香りを壊さず、邪魔せず、食べさ せるにはこの汁は絶妙なのである。辛汁を使用したカケ汁と思われるが、 このためのシンプルというか、あえて濃厚さ、厚みを否定し、ダシが主張しす ぎない薄い辛汁なのだ……ということなのではないかと、ハと気が付いたの である。はたして、どうであろうか? この汁は初めての経験であった。汁はダシをしっかり出した濃厚さがベターと ドグマチックに思ってきた。ダシにはさまざま有るが、いずれにせよ、ダシをし っかり出したものがいいと思ってきた。甘さ/辛さ……というものとは異なり、 どちらにしても、重みのある汁がいい汁である……というのが基本にあった ように思う。しかし、ここの汁は違う。そうか、関西系、特に京都の汁で言われ る薄味の基本というのはこういうことなのであろうか? 蕎麦はコシもあり、香りも文句なし。最上の蕎麦である。せいろ蕎麦で薄めの 汁を味わってみるもよいが、ここでは1杯ぜひとも暖かいカケ蕎麦を楽しまれ たい。セイロのあとの蕎麦湯が、濃厚な薄められた甘さ……で飲む汁と違っ て、薄めのさっぱり味で飲む蕎麦湯……これもなかなか悪くないと思う、アタ クシメでありました。発見だった。 「黒澤」 東京都千代田区永田町2-7-9 東急キャピタルホテル裏 TEL03-3580-9638 11:30-14:45、17:00-22:00、土・祝12:00-21:00。日休 |
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