殖産興業・富国強兵――<br> 日本の近代化を支えた横浜の洋館・建造物                                              
                     
                   
日本の近代化を支えた――
横浜の洋館・建造物・産業遺構
   
   
   
         
     
 
  025 横浜税関本館庁舎

   
 
クイーンの塔の愛称にふさわしく気品が感じられる横浜税関本館と塔。3塔の中では一番高い。
かつては、海からくると、この塔が一番目立つといわれていたが、
いまやみなとみらい地区に高層ビルができて、目がそちらに奪われているそうだ。


 神奈川県庁舎裏を通る海岸通りから港に出る交差点の左角にあるのが、横浜税関本館である。県庁舎の裏の北の対角にある。
 なんといっても特徴は、港に面して建つイスラム風の塔で、横浜の3塔の中で、「クイーン」の愛称で呼ばれる塔だ。たしかに、他の2塔が直線的で鋭角に感じられるのに比べると、丸みを帯びた柔らかなたたずまいは、女性的でもある。
 この塔、税関の本館を立てるにあたって、港に入ってくる船舶からはっきり見えるように、という意図で作られたというが、3塔のなかでこの塔が一番高い。この件については、当時の税関の所長が「他の2塔に負けてはならぬ」と一番高くすることを求めて、計画を変更させたという逸話がある。話としては面白いがその真偽については、不明。

 
 
海と反対側、海岸通りに立つ横浜税関本館入口玄関。


   ■「近世式」のクイーンの塔
 一番高く見えないのは、この塔が他の2つと比べて、丸みを帯びているからだろう。多くの船がこの塔を目標に入ってくると聞くと、かつては、ランドマークとしてだけでなく、船舶にとっての道しるべ、灯台としての役目も果たしているのかもしれない。
 この塔の建築様式は何かということが話題になったりするが、どうやら決まった答えはないようだ。出来た当初のパンフレットには全体の意匠として「近世式」と書かれていたそうだが、アール・デコ、ロマネスク、ゴシック、イラスミック・・・といろいろ言えば言えないことはないが、どれも決定力に欠ける。やはり「近世式」と言っておくのが正解かも知れぬ。
 
 
玄関は建物の顔、アーチ型の門柱など個性的ななかにも重さが感じられる。



 建てられたのは、昭和9(1934)年。当初は鉄筋鉄骨造りの5階建てだったが、平成15(2003) 年に改造され7階建てになった。設計は大蔵省営繕管財局。横浜市の歴史的建造物に認定されている。
 
 
外壁は白タイルでシンプルに見えるが、細かな装飾があちこちに施されている。


 外壁に白いタイルが張られ、シンプルなデザインなのだが、軒の飾り(コーニス)のように、要所に装飾が見られる。
 塔の下に入り口があるが、正式な正面入り口は塔の反対側、海岸通りに面してあり、細やかな装飾が施されている。
 安政6(1859)年に作られた運上所から言えば何代目かの庁舎に当たり、終戦後はここも接収され、マッカーサーの部屋として使われたそうだ。

       
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