殖産興業・富国強兵――<br> 日本の近代化を支えた横浜の洋館・建造物                                              
                     
                   
日本の近代化を支えた――
横浜の洋館・建造物・産業遺構
   
   
   
         
     
 
 015 旧川崎第百銀行横浜支店(東京三菱銀行横浜中央支店)

   
 
イオニア風のオーダーがよく目立つ。これがマンションの1階とは思えない。



   ■ファサードがマンションの1階に
 低層階部位のファサードにかつての銀行の部分を復元し、建物自体は高層マンションに仕上がっている。
 本町通りの3丁目の交差点、横浜銀行協会ビルの向に立つビルで、ここは、昭和9(1934)年に川崎第百銀行の横浜支店として建てられ、その後川崎銀行と三菱銀行の合併で、三菱銀行横浜支店→東京三菱銀行横浜中央支店と変わり、平成16(2004)年に所有者が銀行ではなくなり、大改造が行われて、21階建ての高層マンションとして生まれ変わった。いまは、当時のファサードが、マンションの低層階の外側に設置されている。
 もともとの銀行の設計は、本シリーズの008旧川崎銀行横浜支店(損保ジャパン日本興亜横浜馬車道ビル)と同じ矢部又吉である。平成16年の大改造は、最初の工事を担当した戸田建設が行い、マンションに建て替えられるにあたって、横浜市や建築家らの強い要望もあり、低層部分の3面の外壁を銀行時代の外観意匠をそのまま生かし、横浜市の歴史的建築物に認定された

 ■内部の空間がマンションのロビー  
 
お願いして中を撮らせていただいたが、静かな落ち着いた雰囲気は高級感を醸している。奥が銀行の部分。


 ファサードを残して銀行→オフィスビルという改造は、上記の損保ジャパン日本興亜横浜馬車道ビルでもあるが、銀行→マンションの改造で、銀行の重々しいファサードの構えがマンションのイメージをのこしている非常に珍しいケースだ。
 改造の工事としては、もともと鉄筋コンクリート構造の3階建て(内部は大部分が吹き抜けだった)ので、鉄筋コンクリート構造のマンションへの改造には技術的には違和感はなかったかもしれない。
 その銀行時代の、石造りの高い天井の吹き抜けがマンションの1階ロビー、エレベーター室に活かされていて、落ち着いた重厚な高級感あふれる雰囲気を醸している。マンションにお住いの皆さんにはとても好評のようだ。
 
 
正面、交差点に向いた面、関内通りに面したサイド、どの面にも3階を通した円柱が存在感を示している。



 
 
上層階にマンションが見えるが、その前面としてオーダーの意匠は違和感がない。


   もともとあった、イオニア風の大オーダーはそのまま残され、概観は全く銀行そのもの。復元した銀行の隣に入口が設けられていて、入り口はガラスだが、その石造りの家に入っていくイメージがあり、それもこのマンションの売りの一つなのだろうと思う。
 交差点に向ったコーナーが削られていて、そこにも大オーダーがあるのが特徴的で、その意匠はまま生かされている。
 このオーダーの円柱はタテの溝はない。次回にご紹介する近くの三井住友銀行とともに、古典建築の大オーダーを比較しながら味わうにはいいかもしれない。
       
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